人口が増えたのは東京と沖縄だけ?国勢調査速報でみる5年間の都道府県人口
2025年10月1日現在の日本の総人口は1億2305万人(123,049,524人)で、2020年の前回調査から309万7千人減りました。 5年間の減少率は2.5%(年平均0.50%)で、前回の5年間(0.7%減)から減少ペースが速まっています(総務省統計局「令和7年国勢調査 人口速報集計」、公表日2026-05-29)。
都道府県別で人口が増えたのは東京都(+1.4%)と沖縄県(+0.1%)の2都県だけで、45道府県が減少しました。 この記事では、5年間の変化の全体像と、その背後にある自然増減・社会増減の構造を整理します。
総人口の減り方: 年間約58万人ペース
まず全国の水準を2つの統計で確認します。
- 国勢調査(人口速報集計): 1億2305万人。5年で▲2.5%。実際に調査した常住人口の速報値です。
- 人口推計(2025年10月1日現在の確定値): 1億2321万9千人。前年比▲58万3千人(▲0.47%)です(総務省統計局「人口推計」2026年3月報、公表日2026-03-19)。
人口推計を日本人と外国人に分けると、構造がはっきりします。
- 日本人: 1億1938万人で前年比▲91万6千人(▲0.76%)
- 外国人: 383万9千人で前年比+33万3千人(+9.50%)
日本人の減少の一部を外国人の増加が埋めて、全体の減少が58万人にとどまっている形です。 動態でみると、2024年10月からの1年間で出生69万4千人に対し死亡161万3千人と、自然増減は▲91万9千人。一方、入国が出国を上回る社会増減は+33万6千人でした(総務省統計局・同月報)。
都道府県別: 増加2、減少45
2020年から2025年の5年増減率です(総務省統計局「令和7年国勢調査 人口速報集計 結果の概要」、単位%)。
| 都道府県 | 増減率 | 都道府県 | 増減率 | 都道府県 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | -4.6 | 石川 | -3.9 | 岡山 | -4.2 |
| 青森 | -7.9 | 福井 | -4.9 | 広島 | -4.2 |
| 岩手 | -7.0 | 山梨 | -3.7 | 山口 | -5.8 |
| 宮城 | -3.2 | 長野 | -4.5 | 徳島 | -6.1 |
| 秋田 | -8.1 | 岐阜 | -4.4 | 香川 | -4.5 |
| 山形 | -7.0 | 静岡 | -4.5 | 愛媛 | -5.6 |
| 福島 | -6.6 | 愛知 | -1.2 | 高知 | -7.0 |
| 茨城 | -2.6 | 三重 | -4.3 | 福岡 | -1.0 |
| 栃木 | -3.5 | 滋賀 | -1.5 | 佐賀 | -3.7 |
| 群馬 | -3.7 | 京都 | -2.9 | 長崎 | -6.1 |
| 埼玉 | -0.8 | 大阪 | -0.8 | 熊本 | -3.5 |
| 千葉 | -0.4 | 兵庫 | -2.6 | 大分 | -4.2 |
| 東京 | +1.4 | 奈良 | -4.2 | 宮崎 | -4.7 |
| 神奈川 | -0.5 | 和歌山 | -6.3 | 鹿児島 | -4.7 |
| 新潟 | -6.0 | 鳥取 | -5.4 | 沖縄 | +0.1 |
| 富山 | -4.7 | 島根 | -6.2 | 全国 | -2.5 |
読み取れる形は3つあります。
- 減少率の上位は東北・四国です。秋田▲8.1%、青森▲7.9%、岩手・山形・高知▲7.0%と、5年で人口の1割近くを失うペースの県があります。
- 大都市圏も減少に転じました。埼玉・千葉・神奈川・愛知・滋賀・福岡の6県は、前回(2015→2020年)は増加していましたが今回減少に転じています。39道府県で減少幅が拡大しました。
- 東京都だけが明確な増加(+19万9千人)で、沖縄はほぼ横ばい(+740人)です。
増減を分解する: 自然増加の県はもうない
人口の増減は、出生と死亡の差(自然増減)と、流入と流出の差(社会増減)に分解できます。 2025年の都道府県別内訳は国勢調査年のため未公表ですが、直近の2024年10月1日現在の人口推計では次の構造でした(総務省統計局「人口推計(2024年10月1日現在)」、公表日2025-04-14)。
- 自然増加の都道府県はゼロ。47都道府県すべてで死亡が出生を上回っています。
- 社会増加は24都道府県。東京・埼玉・千葉・大阪など、人口を保っている地域はすべて「自然減少を社会増加で埋める」型です。
- 対前年で人口が増えたのは東京(+0.66%)と埼玉(+0.01%)のみでした。
つまり現在の日本では、どの都道府県も出生だけでは人口を維持できず、増減を分けるのは人の流入です。 東京の+1.4%も「出生が多い」のではなく、転入と外国人増加が自然減少を上回った結果です。
高齢化の水準も地域差が大きく、2024年時点の65歳以上割合は秋田39.5%が最高、東京22.7%が最低です。 15歳未満の割合が75歳以上の割合を上回る県は沖縄だけでした(総務省統計局・同資料)。
数字を使うときの注意
- 速報値です。人口速報集計は市区町村の要計表に基づく速報で、確定数(人口等基本集計、2026年9月までに公表予定)とは一致しない場合があります。
- 5年増減と対前年増減は別物です。国勢調査の▲2.5%は5年分、人口推計の▲0.47%は1年分です。期間をそろえずに比較することはできません。
- 2つの統計は水準が少し違います。速報1億2305万人と推計1億2321万9千人の差は調査方法の違いによるもので、確定人口の公表後に人口推計側が遡及更新されます。
- 2020~2025年にはコロナ期が含まれます。移動抑制の影響が5年増減に含まれるため、足元のトレンドとは分けて読む必要があります。
人口動態は、地域の住宅・労働市場の背景要因でもあります。 住宅側は空き家率13.8%の中身、労働市場側は有効求人倍率の都道府県差で扱っています。
まとめ
- 2025年10月1日現在の総人口は1億2305万人で、5年間で309万7千人減(▲2.5%)。減少ペースは前回5年間から加速しました(総務省統計局「令和7年国勢調査 人口速報集計」)。
- 増加は東京+1.4%と沖縄+0.1%のみ。埼玉・千葉・神奈川・愛知・滋賀・福岡も減少に転じ、秋田は▲8.1%です。
- 自然増加の都道府県はすでにゼロで、人口を保てるかは社会増(流入)次第の構造です。日本人が年91万6千人減る一方、外国人は33万3千人増えています。
- 速報値であること、5年増減と対前年の違い、コロナ期を含むことを踏まえて読む必要があります。