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有効求人倍率1.18倍の読み方は?都道府県と職業で分かれる求人の偏り

・ 約4分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

有効求人倍率は、仕事を探す人1人に対して何件の求人があるかを示す指標です。 2026年6月は季節調整値で1.18倍(前月比+0.01ポイント)でした(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」、公表日2026-07-31)。

ただし「求職者1人に1.18件の選択肢がある」という読み方は、2つの意味で正確ではありません。 第一に、この数字はハローワーク経由の求人・求職だけの集計です。 第二に、平均の裏で職業別には建設躯体工事の7.85倍から一般事務の0.28倍まで、28倍の開きがあります。

目次
  1. 何を数えている統計か
  2. 直近の推移: 2023年ピークから緩やかな低下
  3. 都道府県別: 「就業地別」と「受理地別」で順位が変わる
  4. 職業別: 建設7.85倍と事務0.28倍
  5. まとめ

何を数えている統計か

有効求人倍率は「月間有効求人数÷月間有効求職者数」です。 2026年6月の原数値では、月間有効求人約222万8千件に対し月間有効求職者約201万4千人でした(厚生労働省の同資料)。

前提として押さえるべき範囲の限界があります。

月次で使う数値も使い分けがあります。 前月との比較は季節調整値(6月は1.18倍)、前年同月との比較は原数値(同1.11倍、前年同月差▲0.03ポイント)で行うのが慣行です。

直近の推移: 2023年ピークから緩やかな低下

年平均の推移です(厚生労働省の同資料第4表)。

2021年2022年2023年2024年2025年
有効求人倍率(年平均)1.13倍1.28倍1.31倍1.25倍1.22倍

コロナ期の落ち込み(2021年1.13倍)から2023年の1.31倍まで戻した後、2024年以降は緩やかな低下基調です。 月次の季節調整値では、2025年6月の1.22倍から2026年に入って1.17~1.19倍の狭い範囲で横ばいが続いています。

低下基調の解釈には注意が要ります。 ハローワーク経由の集計であるため、求人が民間サイト経由へ移った影響と、求人自体の減少を、この統計だけでは区別できません。 雇用情勢の全体は就業率と完全失業率など他の指標と併せて読む必要があります。

都道府県別: 「就業地別」と「受理地別」で順位が変わる

都道府県別の倍率には2種類あります(2026年6月、季節調整値)。

東京都は受理地別1.70倍に対し、就業地別では1.06倍まで下がります。 本社が東京で一括して出す求人(勤務地は全国)が受理地別の東京に集中するためです。 逆に神奈川・千葉・埼玉の受理地別が低い(0.84~0.99倍)のも同じ構造の裏返しで、「県内の仕事の多さ」を見たい場合は就業地別を使います。

北陸・山陰など地方の倍率が高いのは、求人が多いからとは限りません。 倍率は求人と求職者の比なので、人口減少で求職者側が減っても倍率は上がります。

職業別: 建設7.85倍と事務0.28倍

職業別の有効求人倍率です(2026年6月、常用・パート含む、原数値。職業別は季節調整値の公表がありません)。

職業倍率
建設躯体工事従事者7.85倍
土木作業従事者5.97倍
保安職業従事者(警備等)5.85倍
建築・土木・測量技術者4.96倍
介護サービス職業従事者3.70倍
自動車運転従事者2.42倍
保健師・助産師・看護師1.86倍
職業計1.01倍
運搬・清掃・包装等従事者0.63倍
事務従事者0.35倍
一般事務従事者0.28倍

建設・保安・介護・運転で人手不足が突出する一方、事務職は求職者が求人を大きく上回ります。 一般事務は求職者約3.6人に対し求人1件の計算で、「平均1.18倍」とは正反対の状況です。

この開きは、全体の倍率が高くても就職が容易とは限らない理由でもあります。 求人の多い職業と求職者の希望する職業がずれている(ミスマッチ)ため、倍率の平均値だけでは個人の就職しやすさを判断できません。

賃金の水準は職業・雇用形態でも大きく異なります。 年齢別の平均給与正社員と非正規の賃金格差、法定下限の47都道府県の最低賃金一覧と合わせて読むと、労働市場の全体像に近づきます。

まとめ