空き家率13.8%の中身は?都道府県ランキングと「放置されやすい空き家」の見分け方
日本の空き家は900万2千戸で過去最多、空き家率は13.8%で過去最高です(総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)」、データ時点2023年10月1日、公表2024年9月25日)。
ただし「7~8軒に1軒が放置された空き家」という読み方は正確ではありません。 900万戸の約半分は賃貸用の空室であり、問題になりやすい「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は385万6千戸、総住宅数の5.9%です。 この記事では、総数と内訳を分けたうえで、都道府県別の水準を確認します。
空き家900万戸の内訳
2023年の空き家の種類別内訳です(総務省統計局・同確報集計、データ時点2023年10月1日)。
| 種類 | 戸数 | 総住宅数比 | 空き家に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 賃貸用の空き家 | 443万6千戸 | 6.8% | 49.3% |
| 売却用の空き家 | 32万6千戸 | 0.5% | 3.6% |
| 二次的住宅(別荘等) | 38万4千戸 | 0.6% | 4.3% |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 385万6千戸 | 5.9% | 42.8% |
| 空き家総数 | 900万2千戸 | 13.8% | 100.0% |
「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は、入居者募集中でも売り出し中でも別荘でもない空き家です。 転勤・入院などによる長期不在や取り壊し予定の住宅を含み、管理が行き届かなくなりやすい区分として政策上も注目されています(2018年調査までの「その他の住宅」に相当)。
建て方で分けると性格の違いがはっきりします。 共同住宅の空き家(502万9千戸)は78.5%が賃貸用、つまり市場に出ている空室です。 一方、一戸建の空き家(352万3千戸)は80.9%が「除く空き家」で、放置されやすい空き家の多くは一戸建です(総務省統計局・同確報集計)。
空き家率の推移: 45年間ほぼ一貫して上昇
全国の推移です(総務省統計局・同確報集計、データ時点は各調査年)。
| 年 | 空き家数 | 空き家率 | 除く空き家率 |
|---|---|---|---|
| 1978年 | 268万戸 | 7.6% | 2.8% |
| 1998年 | 576万戸 | 11.5% | 3.6% |
| 2008年 | 757万戸 | 13.1% | 4.7% |
| 2013年 | 820万戸 | 13.5% | 5.3% |
| 2018年 | 849万戸 | 13.6% | 5.6% |
| 2023年 | 900万戸 | 13.8% | 5.9% |
総数ベースの空き家率は2013年以降、上昇ペースが緩やかになっています。 一方、「除く空き家」は2018年から2023年で36万9千戸増え、率も5.6%から5.9%へ上がり続けています。 総数の頭打ち感と、放置されやすい空き家の増加継続は、分けて見る必要があります。
都道府県別: 総数ベースの最高は徳島21.3%
2023年の都道府県別空き家率です(総務省統計局・同確報集計。「除く」は賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率)。
| 都道府県 | 空き家率 | 除く | 都道府県 | 空き家率 | 除く |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 15.6% | 5.6% | 滋賀 | 12.3% | 7.3% |
| 青森 | 16.7% | 9.3% | 京都 | 13.1% | 6.2% |
| 岩手 | 17.3% | 9.3% | 大阪 | 14.2% | 4.6% |
| 宮城 | 12.4% | 4.6% | 兵庫 | 13.8% | 6.2% |
| 秋田 | 15.8% | 10.0% | 奈良 | 14.6% | 7.7% |
| 山形 | 13.5% | 7.9% | 和歌山 | 21.2% | 12.1% |
| 福島 | 15.2% | 7.3% | 鳥取 | 15.7% | 9.7% |
| 茨城 | 14.1% | 6.7% | 島根 | 17.0% | 11.3% |
| 栃木 | 16.9% | 6.6% | 岡山 | 16.5% | 8.6% |
| 群馬 | 16.7% | 7.6% | 広島 | 15.8% | 7.8% |
| 埼玉 | 9.3% | 3.8% | 山口 | 19.4% | 11.1% |
| 千葉 | 12.3% | 5.0% | 徳島 | 21.3% | 12.2% |
| 東京 | 10.9% | 2.6% | 香川 | 18.6% | 9.7% |
| 神奈川 | 9.8% | 3.2% | 愛媛 | 19.8% | 12.2% |
| 新潟 | 15.3% | 7.6% | 高知 | 20.3% | 12.9% |
| 富山 | 14.7% | 8.4% | 福岡 | 12.4% | 4.6% |
| 石川 | 15.6% | 7.3% | 佐賀 | 14.5% | 7.7% |
| 福井 | 15.6% | 8.5% | 長崎 | 17.3% | 9.9% |
| 山梨 | 20.4% | 8.7% | 熊本 | 14.9% | 7.6% |
| 長野 | 20.1% | 8.9% | 大分 | 19.1% | 9.6% |
| 岐阜 | 16.1% | 8.1% | 宮崎 | 16.3% | 9.9% |
| 静岡 | 16.7% | 5.9% | 鹿児島 | 20.5% | 13.6% |
| 愛知 | 11.8% | 4.3% | 沖縄 | 9.4% | 4.0% |
| 三重 | 16.3% | 9.5% | 全国 | 13.8% | 5.9% |
2つの率で順位が入れ替わる点がポイントです。
- 総数ベースの上位は徳島21.3%、和歌山21.2%、鹿児島20.5%、山梨20.4%、高知20.3%、長野20.1%。下位は埼玉9.3%、沖縄9.4%、神奈川9.8%です。
- 除くベースの上位は鹿児島13.6%、高知12.9%、徳島・愛媛12.2%、和歌山12.1%と西日本に集中します。下位は東京2.6%、神奈川3.2%、埼玉3.8%、沖縄4.0%です。
- 山梨・長野は総数ベースでは20%台ですが、除くベースでは8%台です。別荘などの二次的住宅が総数を押し上げているためで、「放置空き家が5軒に1軒」という意味ではありません。
この統計を読むときの注意
- 標本調査の推定値です。約340万住戸を対象とする標本調査で、数値には誤差があります。県ごとの小さな増減(±1ポイント未満)を過度に解釈することはできません。
- 空き家の判定には外観確認が含まれます。調査員等が外観の確認や管理者への聞き取りで判定した建物調査票に基づくため、居住実態の完全な捕捉ではありません。いわゆる廃屋は住宅に計上されません。
- 「除く空き家」=「放置空き家」ではありません。転勤・入院などによる一時的な長期不在も含まれます。管理状態を直接調べた区分ではない点に注意が必要です。
- 名称が2023年調査で変わりました。2018年までの「その他の住宅」が「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」に変更されています。過去資料と突き合わせるときは区分の対応を確認します。
地域の人口動態は空き家の背景要因のひとつです。 世帯や家計の側からの統計は年代別の生活費や高齢夫婦無職世帯の生活費で扱っています。
まとめ
- 2023年の空き家は900万2千戸・空き家率13.8%で過去最高ですが、約半分(49.3%)は賃貸用の空室です(総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」確報集計)。
- 放置されやすい「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は385万6千戸・総住宅数の5.9%で、総数より速いペースで増え続けています。その8割超は一戸建です。
- 都道府県別では総数ベースの最高が徳島21.3%、最低が沖縄9.4%。除くベースでは鹿児島13.6%が最高、東京2.6%が最低で、西日本で高い傾向です。
- 総数ベースと除くベースは意味が異なり、別荘地や賃貸空室の多い地域では乖離が大きくなります。目的に応じて使い分ける必要があります。