2050年の人口はどうなる?都道府県別の将来推計と「秋田4割減・東京だけ増」の中身
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」では、日本の総人口は2050年に1億468.6万人、2056年に1億人を下回り、2070年には約8,700万人と、50年でおよそ3割減る見通しです(出生中位・死亡中位仮定、公表2023年4月)。
ただし全国の数字より重要なのは、減り方が地域で極端に違うことです。 同年12月公表の「地域別将来推計人口」によると、2050年に2020年より人口が多いのは東京都だけで、秋田県は4割以上減ります。 この記事では都道府県別の見通しと、この数字の正しい読み方を整理します。
目次
全国: 2050年に17%減、65歳以上が37.1%
全国推計の基本仮定(出生中位・死亡中位)の骨格です(社人研「日本の将来推計人口(令和5年推計)」)。
| 年 | 総人口 | 65歳以上割合 | 15~64歳割合 | 0~14歳割合 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年(実績) | 1億2,614.6万人 | 28.6% | 59.5% | 11.9% |
| 2050年 | 1億468.6万人 | 37.1% | 52.9% | 9.9% |
| 2070年 | 8,699.6万人 | 38.7% | 52.1% | 9.2% |
見落とされがちな点が2つあります。
- 65歳以上人口の実数はずっと増え続けるわけではありません。ピークは2043年の3,953万人で、その後は実数も減ります。割合が上がり続けるのは、分母の総人口がもっと速く減るためです。
- 前回推計より減少はわずかに緩みました。1億人割れの時期は前回の2053年から2056年へ後ろにずれています。主因は外国人の入国超過の仮定を年約16万4千人へ引き上げたことで、出生率の仮定はむしろ1.44から1.36へ下がっています。
都道府県別: 2050年の人口指数(2020年=100)
2050年の総人口を2020年=100の指数で示します(社人研「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」、公表2023-12-22。指数から100を引いた値が30年間の増減率)。
| 都道府県 | 指数 | 都道府県 | 指数 | 都道府県 | 指数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 73.1 | 石川 | 79.2 | 岡山 | 80.0 |
| 青森 | 61.0 | 福井 | 74.7 | 広島 | 79.6 |
| 岩手 | 64.7 | 山梨 | 75.5 | 山口 | 69.0 |
| 宮城 | 79.5 | 長野 | 77.2 | 徳島 | 66.8 |
| 秋田 | 58.4 | 岐阜 | 74.2 | 香川 | 76.2 |
| 山形 | 66.6 | 静岡 | 77.9 | 愛媛 | 70.8 |
| 福島 | 68.0 | 愛知 | 88.5 | 高知 | 65.2 |
| 茨城 | 78.3 | 三重 | 76.1 | 福岡 | 87.2 |
| 栃木 | 77.7 | 滋賀 | 86.5 | 佐賀 | 76.5 |
| 群馬 | 78.4 | 京都 | 80.5 | 長崎 | 66.2 |
| 埼玉 | 90.3 | 大阪 | 82.2 | 熊本 | 78.0 |
| 千葉 | 90.5 | 兵庫 | 79.7 | 大分 | 74.9 |
| 東京 | 102.5 | 奈良 | 71.8 | 宮崎 | 74.5 |
| 神奈川 | 92.3 | 和歌山 | 68.5 | 鹿児島 | 73.7 |
| 新潟 | 69.3 | 鳥取 | 73.3 | 沖縄 | 94.8 |
| 富山 | 73.6 | 島根 | 74.1 | 全国 | 83.0 |
- 100を超えるのは東京都(102.5)だけです。その東京都も2040~45年以降は減少に転じ、以降は47都道府県すべてが減少局面に入ります。
- 3割以上減る県が11県あります。秋田58.4を筆頭に、青森、岩手、高知、長崎、山形、徳島、福島、和歌山、山口、新潟です。
- 結果として人口の偏在は進み、南関東の全国シェアは29.3%から33.7%へ、東京都単独では11.1%から13.8%へ上がります。
この方向は、実績にも既に表れています。 令和7年国勢調査の速報では、2020→2025年の実績で増加は東京+1.4%と沖縄+0.1%のみ、秋田は▲8.1%でした。 推計の初回5年分と整合する動きです。
高齢化と働き手: 「割合」と「実数」を分けて読む
2050年の65歳以上割合は、秋田49.9%・青森48.4%・岩手45.9%と、人口のほぼ半分が65歳以上という県が現れます。最低は東京29.6%で、40%超は25道県に広がります(2020年時点はゼロ)。
ただし割合の高さと高齢者の実数は別です。 26道県では65歳以上人口の実数自体が減ります。実数が2割以上増えるのは沖縄・東京・神奈川・愛知・滋賀といった大都市圏と沖縄です。 介護・医療の需要増に備えるべき場所と、高齢者すら減っていく場所は違う、というのがこの推計の含意です。
働き手側はより厳しく、15~64歳人口は全国で7,509万人から5,540万人へ、指数73.8(約26%減)です。 市区町村レベルでは、2050年に総人口が2020年の半分未満になる自治体が341(19.7%)、15~64歳が半分未満になる自治体は699(40.5%)にのぼります。
この数字を「予測」と読んではいけない理由
社人研は、この推計を「現在の社会変化の趨勢が継続した場合に実現する人口」と位置づけています。 使うときの注意は3つです。
- 仮定に依存します。中位仮定は出生率1.36(2070年)、外国人入国超過は年約16万4千人です。特に外国人の仮定は前回推計から2倍以上に引き上げられており、出入国政策が変われば結果は動きます。実際、出生3仮定×死亡3仮定の9通りが公表されており、2070年の総人口は8,024万~9,549万人の幅があります。
- 目標値でも運命でもありません。推計と実績の差は5年ごとの国勢調査で検証され、推計自体もおおむね5年ごとに作り直されます。
- 市区町村の値ほど幅が大きい。小さい地域ほど移動の仮定のブレが効くため、個別自治体の値は幅を持って読む必要があります。
人口減少の帰結は他の統計に既に表れ始めています。 住宅側は空き家率13.8%、労働市場側は有効求人倍率の地域差、実績の人口動態は国勢調査速報で確認できます。
まとめ
- 社人研の令和5年推計では、総人口は2050年に1億468.6万人(2020年比17%減)、2056年に1億人割れ、2070年に約8,700万人です。
- 2050年に2020年を上回るのは東京都のみで、秋田・青森など11県は3割以上減。その東京も2040年代半ば以降は減少に転じます。
- 65歳以上割合は全国37.1%、秋田は49.9%に達しますが、26道県では高齢者の実数自体が減ります。割合と実数を分けて読む必要があります。
- これは趨勢が続いた場合の推計であり、出生率・外国人移動の仮定次第で変わります。単一の予測や目標として扱うことはできません。