数字で読む暮らしと経済暮らしの数字を、一次データで読む

年代別の貯蓄額はいくら?平均2,059万円と中央値1,264万円の読み方

・ 約4分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

「みんなの貯蓄額」を統計で確認するときにまず注意したいのは、平均値と中央値が大きく離れていることです。 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」の2025年平均では、二人以上の世帯の貯蓄現在高は平均2,059万円ですが、貯蓄保有世帯の中央値は1,264万円でした。 そして平均値を下回る世帯は全体の66.1%です(総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果の概要」、公表日2026-05-19)。

平均2,059万円を「普通の世帯の貯蓄額」と読むと実態からずれます。 この記事では、世帯主の年齢階級別の水準と、比較する前に確認すべき定義を整理します。

目次
  1. 「貯蓄現在高」に何が入っているか
  2. 年代別の平均貯蓄額
  3. 平均と中央値はなぜ1.6倍も違うのか
  4. 自分の貯蓄と比べる前に確認する4点
  5. まとめ

「貯蓄現在高」に何が入っているか

家計調査の貯蓄現在高は、次の合計です(総務省統計局「令和6年全国家計構造調査 用語の解説」)。

不動産などの実物資産は含みません。 また、住宅ローンなどの負債を差し引いた純資産でもありません。 評価方法も項目ごとに異なるため、「金融資産の時価合計」と厳密に一致するものでもない点に注意が必要です。

対象は二人以上の世帯で、単身世帯は含まれません。 また層化3段抽出による標本調査のため、数値には標本誤差があります(総務省統計局「家計調査に関するQ&A」)。

年代別の平均貯蓄額

世帯主の年齢階級別の貯蓄現在高(平均値)は次のとおりです(総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果の概要」、データ時点2025年平均)。

世帯主の年齢階級貯蓄現在高(平均)対前年増減率
40歳未満994万円+14.6%
40~49歳1,381万円+5.1%
50~59歳1,756万円-2.3%
60~69歳2,843万円+6.9%
70歳以上2,471万円+1.2%
全体2,059万円

2025年は60~69歳の2,843万円が最大でした。 ただし増減率の内訳は分解できません。 株価などの市場価格の変化、回答世帯の交替、年齢階級内の構成変化が重なり得るため、単一の要因で説明することはできません。

注意したいのは、この表の各金額が平均値であることです。 概要資料が年齢階級別に公表しているのは主に平均値で、5区分それぞれの中央値は載っていません。 つまり「40歳未満の典型的な世帯が994万円持っている」とは読めません。

平均と中央値はなぜ1.6倍も違うのか

全年齢では、平均値2,059万円に対し、貯蓄保有世帯の中央値は1,264万円です。 中央値は貯蓄現在高が「0」の世帯を除いて少ない順に並べた真ん中の世帯の値なので、ゼロ世帯を含めるとさらに下がります。 参考として2024年平均では、平均値1,984万円、保有世帯の中央値1,189万円、ゼロを含む中央値1,099万円でした(総務省統計局「家計簿からみたファミリーライフ 第4章」、データ時点2024年平均)。

平均が中央値を大きく上回るのは、貯蓄分布の高額側の世帯が平均を押し上げているためです。 実際、平均値2,059万円を下回る世帯が66.1%を占めます。 「自分は平均より少ないから危ない」という比較は、3分の2の世帯が平均未満という分布の形を無視した読み方になります。

高齢層では別掲の中央値が確認できます。 世帯主65歳以上の二人以上世帯では、平均値2,564万円に対し貯蓄保有世帯の中央値は1,777万円でした。 分布をみると、貯蓄2,500万円以上の世帯が36.3%ある一方、300万円未満の世帯も14.9%あり、同じ年齢層の中でも大きく割れています(総務省統計局の同概要、データ時点2025年平均)。

自分の貯蓄と比べる前に確認する4点

  1. 世帯の形をそろえます。

この統計は二人以上の世帯です。単身世帯の人がこの表と比べることはできません。

  1. 平均値か中央値かを確認します。

年齢階級別に公表されているのは平均値です。典型的な水準を知りたい場合、平均値は高めに出ることを織り込む必要があります。

  1. 負債と合わせて読みます。

貯蓄現在高は負債を差し引いていません。特に若い年齢層は住宅ローンを抱えながら貯蓄する時期で、貯蓄額だけでは家計の状態を評価できません。

  1. 横断比較であることを確認します。

年齢階級別の差は、同じ世帯を若年期から追跡した結果ではなく、2025年時点の別々の世帯の比較です。世代ごとの経済環境や相続の有無も含まれるため、「歳をとればこの額まで増える」経路としては読めません。

なお、集計方法にも特徴があります。 年平均は年末残高ではなく、各世帯が調査期間中に回答した残高を各月平均し12か月平均したものです。 2025年平均には世帯によって2024年10月から2026年2月までの回答時点が含まれ得ます(総務省統計局「家計調査に関するQ&A」)。

貯蓄の入口となる毎月の収支は、勤労者世帯の実収入と消費支出年代別の生活費で確認できます。 また、高齢期の取り崩しの実態は高齢夫婦無職世帯の生活費で扱っています。

まとめ