正社員と非正規の給料はどれくらい違う?年齢別の賃金格差を統計で比較
正社員と非正規の給料差を統計で確認するときは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の雇用形態別集計が使えます。 令和7年調査(2025年6月分の給与)では、一般労働者の所定内給与は男女計で正社員・正職員358.8千円、正社員・正職員以外241.7千円でした。 正社員・正職員を100とすると、正社員・正職員以外は67.4です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第6-1表、データ時点2025年6月)。
ただしこの差は、同じ仕事をする2人の給料差ではありません。 年齢、勤続年数、産業、職種などの構成が2つの集団で異なるため、雇用形態そのものの効果とは言い切れない点を含めて読み方を解説します。
比較しているのは「一般労働者の所定内給与」
まず比較対象の範囲を確認します(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 主な用語の定義」)。
- 正社員・正職員は、勤め先の事業所が正社員・正職員とする人です。正社員・正職員以外は、それに該当しない常用労働者で、契約社員や嘱託などの呼称は事業所ごとに異なります。
- 対象は一般労働者、つまり短時間労働者に該当しない労働者です。パート・アルバイトの多くを占める短時間労働者はこの比較に入っていません。
- 金額は所定内給与額で、残業代などの超過労働給与を除いた、税・社会保険料を引く前の2025年6月分の平均です。手取りでも年収でもありません。
つまりこの記事の数字は「フルタイムで働く正社員と、フルタイムで働く非正規」の月給の比較です。 短時間勤務のパートを含めた比較や、賞与を含む年収の比較とは別の数字になります。
年齢別の格差は20代の約8割から50代の約55%へ開く
男女計・男女別の所定内給与と、正社員・正職員を100とした比率です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第6-1表、単位は千円、データ時点2025年6月)。
| 年齢階級 | 男女計 正社員 | 男女計 正社員以外 | 比率 | 男性 正社員 | 男性 正社員以外 | 比率 | 女性 正社員 | 女性 正社員以外 | 比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年齢計 | 358.8 | 241.7 | 67.4 | 387.4 | 268.1 | 69.2 | 304.9 | 218.4 | 71.6 |
| 20~24歳 | 247.5 | 203.5 | 82.2 | 250.0 | 205.1 | 82.0 | 244.8 | 202.0 | 82.5 |
| 25~29歳 | 285.0 | 227.9 | 80.0 | 292.4 | 236.6 | 80.9 | 275.3 | 220.9 | 80.2 |
| 30~34歳 | 321.1 | 233.8 | 72.8 | 337.0 | 247.9 | 73.6 | 293.4 | 222.0 | 75.7 |
| 35~39歳 | 352.6 | 230.3 | 65.3 | 374.2 | 247.7 | 66.2 | 307.2 | 217.8 | 70.9 |
| 40~44歳 | 379.0 | 230.6 | 60.8 | 406.3 | 250.9 | 61.8 | 322.2 | 220.1 | 68.3 |
| 45~49歳 | 395.6 | 233.4 | 59.0 | 429.7 | 262.8 | 61.2 | 327.4 | 220.2 | 67.3 |
| 50~54歳 | 412.7 | 229.7 | 55.7 | 449.2 | 254.3 | 56.6 | 334.2 | 219.6 | 65.7 |
| 55~59歳 | 424.2 | 232.5 | 54.8 | 460.7 | 262.0 | 56.9 | 339.1 | 217.6 | 64.2 |
| 60~64歳 | 366.2 | 279.9 | 76.4 | 390.5 | 310.9 | 79.6 | 310.3 | 227.6 | 73.3 |
表から読める形は次のとおりです。
- 正社員・正職員の給与は20~24歳の247.5千円から55~59歳の424.2千円まで年齢階級とともに高くなります。一方、正社員・正職員以外は同じ範囲で203.5~232.5千円とほぼ横ばいです。
- その結果、比率は20~24歳の82.2から55~59歳の54.8まで低下します。単純差でみると、20~24歳の44.0千円に対し、55~59歳では191.7千円です。
- 60~64歳では比率が76.4へ戻ります。正社員・正職員側の平均が366.2千円へ下がり、正社員・正職員以外側が279.9千円へ上がるためです。
「非正規だから給料が低い」とは統計だけでは言えない
この表を雇用形態の因果効果として読むことはできません。 確認すべき注意点が3つあります。
- 集団の構成が違います。
年齢計の平均年齢は正社員・正職員43.2歳に対し正社員・正職員以外51.2歳、平均勤続年数は13.1年と10.8年です(厚生労働省の同調査、データ時点2025年6月)。 産業、企業規模、職種、役職の分布も調整されていないため、同じ条件の人を比べた差ではありません。
- 同じ人の昇給経路ではありません。
年齢階級別の比較は、各階級に属する別々の人を同じ時点で比べた横断集計です。 正社員の給与カーブが年齢とともに上がる形は、世代差や退職・転職による構成変化も含んでいます。
- 月給の一部だけを見ています。
所定内給与には賞与も残業代も含まれません。 賞与を含めると格差は変わり得ますが、同調査の年間賞与は原則2024年1~12月支給分で、2025年6月の給与と参照期間が異なります。 賞与を含む年齢別の水準は年齢別の平均給与で確認できます。
60~64歳で比率が上がる点も、再雇用で正社員から嘱託などへ移る人が多いことと整合しますが、この表は個人の移行を追跡していないため、制度の効果とは断定できません。
男女で読み方を分ける
女性の比率(年齢計71.6)は男性(同69.2)より高い、つまり女性の方が雇用形態間の開きが小さく見えます。 しかしこれは、女性の非正規の給与が高いからではなく、比較の基準となる女性の正社員・正職員の給与(304.9千円)が男性(387.4千円)より低いことも影響しています。
雇用形態間の比較と男女間の比較は、分母も集団構成も違うため、分けて読む必要があります。 すべての掲載年齢階級で、男女とも正社員・正職員以外の給与は正社員・正職員より低い値でした(厚生労働省の同第6-1表、データ時点2025年6月)。
なお、この調査の「一般労働者」は短時間労働者を含みません。 働く時間ごと比較したい場合は、一般労働者とパートの労働時間で月間労働時間の違いを確認できます。
まとめ
- 2025年6月の一般労働者の所定内給与は、男女計で正社員・正職員358.8千円、正社員・正職員以外241.7千円、比率は67.4でした(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)。
- 比率は20~24歳の82.2から55~59歳の54.8まで年齢とともに開き、60~64歳で76.4へ戻ります。正社員側の給与カーブが上がるのに対し、正社員以外はほぼ横ばいであることが背景です。
- 2つの集団は平均年齢・勤続年数・産業などの構成が異なるため、この差を雇用形態そのものの効果とは断定できません。
- 金額は残業代・賞与を除く税引き前の月給であり、短時間労働者も含まれません。自分の給与と比べる前に、範囲と定義をそろえる必要があります。