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地価公示2026の読み方: 5年連続上昇でも住宅地は12県で下落している

・ 約4分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

2026年1月1日時点の地価を示す「令和8年地価公示」では、全国の地価は全用途平均で前年比+2.8%と5年連続の上昇になりました。住宅地は+2.1%、商業地は+4.3%です(国土交通省、公表日2026-03-17)。

ただし「地価上昇が続いている」という全国平均の見出しと、住宅地が12県で下落しているという事実は同時に成り立っています。 この記事では、平均の内訳と、公示価格を実際の土地の値段として読んではいけない理由を整理します。

目次
  1. 地価公示とは何の価格か
  2. 全国と圏域: 東京圏がけん引、名古屋圏と地方四市は減速
  3. 都道府県別: 上位は東京・沖縄、下落は12県
  4. 突出した地点の中身: 半導体とリゾート
  5. 使うときの注意
  6. まとめ

地価公示とは何の価格か

地価公示は、地価公示法に基づき国土交通省の土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点の標準地(令和8年は全国26,000地点)の1㎡当たりの正常な価格を判定・公示する制度です。 一般の土地取引の指標や、公共事業用地の取得価格算定の規準として使われます。

注意すべきは、これが実際の成約価格そのものではないことです。 正常な価格は「自由な取引で通常成立すると認められる価格」であり、売り急ぎ・買い進みなど個別事情を含む実勢価格とは乖離し得ます。 「公示価格が+2.1%だから自宅も2.1%上がった」とは読めません。標準地の地点も市街地中心なので、個別の土地は近隣の公示地点と条件を比べる必要があります。

全国と圏域: 東京圏がけん引、名古屋圏と地方四市は減速

圏域別の変動率です(括弧内は前年、国土交通省「令和8年地価公示の概要」)。

圏域全用途住宅地商業地
全国+2.8% (2.7)+2.1% (2.1)+4.3% (3.9)
東京圏+5.7% (5.2)+4.5% (4.2)+9.3% (8.2)
大阪圏+3.8% (3.3)+2.5% (2.1)+7.3% (6.7)
名古屋圏+2.3% (2.8)+1.9% (2.3)+3.3% (3.8)
地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)+4.5% (5.8)+3.5% (4.9)+6.4% (7.4)
その他の地方圏+0.8% (0.8)+0.6% (0.6)+1.1% (0.9)

方向は一様ではありません。

都道府県別: 上位は東京・沖縄、下落は12県

住宅地の変動率上位は東京+6.5%、沖縄+6.4%、千葉+4.6%、福岡+3.7%、神奈川+3.4%。 商業地は東京+12.2%、大阪+8.5%、京都+7.9%、神奈川・沖縄+7.3%の順です。

一方で下落側も明確にあります。

改善の動きもあり、住宅地では富山が横ばいからプラスへ、群馬・福井・鳥取がマイナスから横ばいへ、商業地では青森がマイナスからプラスへ転じました。

この地域差は人口動態と重なります。 国勢調査速報で人口が増えたのは東京・沖縄だけでしたが、住宅地の上昇率もこの2都県が突出しています。 2050年の将来推計で減少率が大きい県と、地価の下落県の顔ぶれにも重なりが見られます。

突出した地点の中身: 半導体とリゾート

変動率の高い地点は、全国的な傾向ではなく個別要因の集中です。

千歳や白馬の数字を「地方の地価が急騰している」と一般化することはできません。 工場進出やリゾート需要という特定の需要が、狭い範囲に集中した結果です。

使うときの注意

  1. 平均は東京圏に引っ張られています。全国+2.8%の内訳は、東京圏+5.7%とその他地方圏+0.8%の加重であり、「全国的に上がっている」とは範囲を限定して読む必要があります。
  2. 公示価格は実勢価格ではありません。取引の指標となる正常な価格であり、個別の取引価格・査定額とは別物です。
  3. 年1回の観測です。参考として公表される半年ごとの変動率(都道府県地価調査との共通地点)では、商業地は2025年前半+3.2%→後半+2.9%と、わずかな鈍化が示唆されています。
  4. 上昇が家計に与える影響は両面です。保有資産の増加と、住宅取得コスト・固定資産税評価への波及は別方向に効きます。住宅費を含む家計側の統計は年代別の生活費で扱っています。

まとめ