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県民所得が高い県に移れば給料も上がる?所得の内訳と家計への届き方

・ 約5分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

県民所得が高い県へ移るだけで、給料が上がるとは判断できません。 地域の所得には企業所得や財産所得も含まれ、その合計を働いていない人も含む人口で割っているためです。 移住後の家計を考える会社員は、県民所得の順位から給与の統計へ進み、税や社会保険料を差し引いた家計の収入を確かめる必要があります。

目次
  1. 県民所得の平均額は、給与と人口でどう変わる?
  2. 製造業が多い地域でも、所得への影響が違う理由
  3. 地域の所得増は、会社員の手取りにどう届く?
  4. 次はどの統計表を、いつ確認する?
  5. まとめ

県民所得の平均額は、給与と人口でどう変わる?

地域間の金額差は大きく見えます。 内閣府の県民経済計算の解説によると、2022年度の1人当たり県民所得は東京都が603万7千円、愛知県が381万9千円でした。 この金額を移住後の年収の目安にする前に、足している所得と割っている人数を分けます。

まず、地域に帰属する所得の範囲を押さえます。 県民所得は、県民雇用者報酬、財産所得、企業所得の合計です。 内閣府の利用上の注意では、これを子どもや無業者も含む総人口で割ったものを、1人当たり県民所得としています。 ほかの項目が変わらず企業所得が増えれば、雇用者報酬が増えなくても分子の合計は増えます。 会社員が受け取る給与と、地域全体に帰属する所得は、ここで動きが分かれます。

分母の人口も平均額を動かします。 総務省統計局の人口推計では、2022年10月1日現在の全国の総人口は前年より0.44%減少しました。 所得総額が同じなら、割る人数が減るほど平均額は上がります。 これは各県の給与が増えたことを示す仕組みではありません。 全国の人口減少率を、個々の県の所得増加への寄与として当てはめることもできません。

したがって、平均額の上昇を見たら、雇用者報酬が増えたのか、企業所得などが増えたのか、人口が減ったのかを分けて確認します。 次の年度に人口が増加へ転じた地域では、人口減少による押上げという読みを更新する必要があります。

製造業が多い地域でも、所得への影響が違う理由

所得の内訳を調べる前段には、その地域で何を生産しているかという違いがあります。 内閣府の同じ県民経済計算の解説では、2022年度の名目の経済活動別県内総生産は、すべての地域ブロックで製造業の構成比が最大でした。 ただし製造業内では、中部は輸送用機械が34.9%、四国は化学が22.0%で、それぞれ最大です。 どちらも地域経済全体に占める割合ではなく、製造業の中での割合です。

この構成が続くなら、需要や価格、材料などの投入費用が変わったとき、影響を受ける生産分野も地域によって変わります。 需要が増えて生産活動が広がる場合と、投入費用が増えて生産から残る価値が圧迫される場合では、企業所得や雇用者報酬に届く方向も同じとは限りません。 名目の構成比には価格変化と生産量の変化が含まれるため、割合の上昇だけから生産量の増加は確定できません。

さらに、県内の生産と県民に帰属する所得には範囲の違いがあります。 県民所得を求める際は、県外からの所得の純受取を加え、設備などの減耗や税と補助金の調整を行います(内閣府「県民経済計算 利用上の注意」)。 地域の生産増が、そのまま住民の給与増になる計算ではありません。 産業の構成比は、給与への影響を調べる分野を絞る材料として使います。 製造業内で最大の分野が入れ替われば、今回の構成を前提にした読みも見直します。

地域の所得増は、会社員の手取りにどう届く?

給与を主な収入とする家計では、地域の所得増が自分の給与に届くかを確かめます。 地域で生まれた所得が企業所得にとどまる場合と、会社員の給与にも反映される場合とでは、毎月使えるお金への影響が違います。 さらに給与が増えても、税や社会保険料の支払いも増えれば、家計に残る増加分は小さくなります。

会社員の給与が増え、ほかの世帯収入や世帯構成が変わらず、税や社会保険料の増加がその増収を下回るなら、家計で使える収入は増える方向です。 一方、企業所得だけが増える場合や、家計の収入増を税や社会保険料の増加が打ち消す場合には、この読みは外れます。 これは数字の構造からの条件付きの解釈であり、特定の県へ移ると手取りが増えるという予測ではありません。

家計の実収入から税や社会保険料を差し引いた、可処分所得が確認する項目です。 移住後の家計予算は県民所得の平均額から作らず、給与の比較と世帯の可処分所得の確認を分けて進めます。 給与を比べる際の対象や時点のそろえ方は、年齢別の平均給与を比較する記事でも確認できます。 地域の所得順位を、個人の給与順位へ置き換えないための確認です。

次はどの統計表を、いつ確認する?

地域比較をやり直すときは、内閣府の県民経済計算の統計表で年度をそろえます。 2022年度版では、「総括表7 1人当たり県民所得」で水準を確認し、所得の内訳と人口を分けて読みます。 産業の影響を調べるなら、「主要系列表1 経済活動別県内総生産(名目)」の関心のある地域と産業を確認します。

掲載後の修正にも意味があります。 内閣府の修正資料では、2026年6月10日に、佐賀県の2022年度の1人当たり県民所得を289万2千円から309万7千円へ修正しています。 過去の比較表を使う際は、保存した時点と正誤情報も照合します。

次年度分が掲載されても、比較対象がそろったかを先に確かめます。 内閣府の県民経済計算トップの2026年8月7日時点の掲載内容では、2023年度値は42都道府県分でした。 今回の比較に使った2022年度値は47都道府県分です。 次回の具体的な公表日は未確認なので、更新時に収録範囲と修正情報を確認します。

家計の判断をする時点では、厚生労働省の毎月勤労統計や賃金構造基本統計の給与欄、総務省統計局の家計調査の実収入と可処分所得へ進みます。 地域所得の更新を待つだけでなく、給与と家計の数字を使い分ける手順です。

まとめ