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基本給が増えても賞与込みの給与が安定しないのはなぜ?所定内給与と特別給与の読み方

・ 約5分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

基本給に近い部分が増えていても、賞与を含む月の給与総額まで安定して増えるとは限りません。 毎月の基礎部分に近い所定内給与と、賞与などを支給月に記録する特別給与では、増減する時間軸が違うからです。

会社員世帯が固定費を見直すなら、毎月続く収入は所定内給与で確かめ、特別給与は臨時の入金として分けるのが出発点です。 賞与込みの好調な1か月だけを根拠に、毎月の支出を増やさないことが結論です。

目次
  1. 所定内給与と特別給与は何が違うのか
  2. 賞与の前年比が大きく振れる仕組み
  3. 家計では毎月の収入と臨時収入を分ける
  4. 次回の確報で見る資料と場所
  5. まとめ

所定内給与と特別給与は何が違うのか

厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)用語の解説」によると、現金給与総額は「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」の合計です。 さらに、きまって支給する給与は、所定内給与と所定外給与に分かれます。

所定内給与は、きまって支給する給与から所定外給与を除いた金額です。 一方、特別給与には夏冬の賞与、期末手当、不定期の給与、3か月を超える期間で算定される手当、ベースアップの差額追給分が入ります。

この違いは、給与明細の項目名を覚えるためだけの分類ではありません。 所定内給与は毎月の家賃、光熱費、通信費などを支える収入に近く、特別給与は支給月の家計収支を大きく動かす一時金に近いという違いがあります。 固定費の余裕を測るときは、現金給与総額より所定内給与の動きを優先して確認します。

ただし、どちらも所得税や社会保険料を引く前の名目額です。 手取りや購買力を示す数字ではないため、物価を含めた読み方は名目賃金と実質賃金の違いと分けて考える必要があります。

賞与の前年比が大きく振れる仕組み

毎月勤労統計の前年同月比は、当月を前年の同じ月と比べます。 そのため、前年と当年で一時金の金額や支給月がずれると、毎月の基礎部分が同じ方向に動いていても、特別給与の増減率は大きく振れます。

実際、厚生労働省「毎月勤労統計調査」各月結果確報の第1表では、全国の常用労働者5人以上の事業所、就業形態計について、2025年7月から2026年6月まで製造業、卸売業・小売業、医療・福祉の所定内給与が12か月すべて前年同月比でプラスでした。 同じ各月確報で、所定内給与の範囲は製造業が3.3%増から4.3%増、卸売業・小売業が1.7%増から3.6%増、医療・福祉が1.6%増から3.4%増です。

これに対し、同じ厚生労働省の各月確報では、特別給与が前年同月比でマイナスになった月が製造業と医療・福祉で各4か月、卸売業・小売業で5か月ありました。 増減率の範囲は、製造業が8.1%減から21.7%増、卸売業・小売業が40.6%減から52.5%増、医療・福祉が30.4%減から55.8%増です。

ここで「最も高い伸び率の月が、年収を最も押し上げた」とは判断できません。 厚生労働省「毎月勤労統計調査」の2026年5月分と6月分の確報によると、卸売業・小売業の特別給与は5月が24,974円で52.5%増、6月が150,144円で4.8%減でした。 同資料の掲載実額を基にすると、マイナスだった6月の水準は、プラス幅が大きかった5月の約6.0倍です。

伸び率は前年との差を示し、支給水準はその月に記録された金額を示します。 賞与の影響は、増減率の符号だけでなく、支給額の水準と支給月を組み合わせて判断します。

家計では毎月の収入と臨時収入を分ける

会社員世帯への含意は、家計簿の収入欄を一つにまとめないことです。 所定内給与の継続的な伸びは毎月の給与収入を追う手掛かりになり、特別給与の増減は賞与月などの臨時的な余裕を動かします。

厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分結果確報」の掲載実額から計算すると、現金給与総額に占める特別給与の比率は、製造業43.8%、卸売業・小売業36.3%、医療・福祉38.9%でした。 これは2026年6月という支給月の構成比であり、公式の前年比を分解した数字ではありません。

したがって、賞与月の給与総額を通常月の収入とみなすと、家賃や保険料など毎月続く固定費に回せる額を大きく見積もることになります。 固定費は所定内給与で賄える範囲に置き、特別給与は貯蓄や一時支出を考える別枠として扱うと、収入の時間軸と支出の時間軸がそろいます。

この判断には、産業別の平均が個々の会社員の給与傾向もおおむね表すという前提があります。 毎月勤労統計は一般労働者とパートタイム労働者を合算した1人平均であり、同じ人の給与を追跡した数字ではないため、実際の家計では自身の給与明細を優先します。

この読みが外れる条件は、次回以降の確報で所定内給与が複数月続けてマイナスとなり、同じ方向の動きが共通事業所でも確認されることです。 その場合は「毎月の基礎部分はプラスで安定している」という今回の読みを改める必要があります。 反対に、年間集計で特別給与の持続的な水準変化が確認されれば、単なる支給時期のずれとして扱う説明も修正が必要です。

次回の確報で見る資料と場所

次の公表日は、今回の入力資料では確認できません。 まずe-Stat「公表予定一覧」で毎月勤労統計調査の次回日を確認し、公表後に厚生労働省「毎月勤労統計調査」の各月結果確報を開きます。

見る場所は第1表「月間現金給与額」です。 調査産業計だけでなく、自身の仕事に近い産業の所定内給与、所定外給与、特別給与を順に見て、前年同月比の方向と掲載実額の水準を分けます。

速報と確報の差が生じる仕組みは、毎月勤労統計の速報と確報の違いでも確認できます。 今回のノートは各月の確報を使っており、確報は速報後に審査を終えた調査票を加えて再集計するため、同じ対象月でも数字が修正されることがあります。

2026年1月には30人以上事業所の標本が部分的に入れ替わり、厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分結果確報」では、新旧事業所間の断層が現金給与総額でマイナス1,582円、率でマイナス0.5%、きまって支給する給与でマイナス801円、率でマイナス0.3%と示されています。 次回値の方向が変わった場合は、賃金そのものの変化だけでなく、速報から確報への修正や標本の影響も併せて確認します。

まとめ