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1人当たり地方税が増えると税負担も増える?税収と人口から読む自治体の数字

・ 約4分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

自治体の「1人当たり地方税」が増えても、それだけで自分の税負担が増えたとは判断できません。 法人分を含む税収の合計を人口で割る指標なので、人口が減るだけでも上がるためです。 家計への影響を確かめるには、税収総額と人口を分けたうえで、自分に関係する税目や使用料、給付の資料へ進む必要があります。

目次
  1. 1人当たり地方税は、税収と人口でどう変わる?
  2. 地方税の差は、地方交付税を加えるとどう見える?
  3. 家計の税負担やサービス費用には、どうつなげて読む?
  4. 次は、財政状況資料集のどの項目をいつ確認する?
  5. まとめ

1人当たり地方税は、税収と人口でどう変わる?

川崎市と新潟市の財政状況資料集を使うと、同じ指標の上昇でも理由が違うことが分かります。 比較するのは令和2〜6年度(2020〜2024年度)の普通会計決算です。 金額は物価調整をしていない名目額で、人口は各年度の翌年1月1日現在の住民基本台帳人口(外国人住民を含む)を使います。

川崎市の地方税総額は、この期間に7.0%増え、人口も0.9%増えました。 結果として、1人当たり地方税は6.0%増です。 出所は川崎市の財政状況資料集(令和2年度)と同資料集(令和6年度)で、決算額を人口で割って比較しています。 税収が増えた効果を人口増加が一部打ち消した形です。

一方、新潟市の地方税総額は同じ期間に0.2%増にとどまり、人口は3.0%減りました。 それでも1人当たり地方税は3.3%増えています。 出所は新潟市の財政状況資料集の過年度版と令和6年度版です。 税収総額がほぼ変わらなくても、割る人数が減れば1人当たり額は上がります。

したがって、1人当たり額の上昇を見たら、税収が増えたのか、人口が減ったのかを先に分けて確認します。 この比較は住民個人の納税額の変化を測ったものではありません。 市町村民税や固定資産税などの税収を合計する指標の範囲は、デジタル庁の財政項目の説明で確認できます。

地方税の差は、地方交付税を加えるとどう見える?

自治体が行政サービスの財源を得る入口には、地方税のほかに地方交付税があります。 そのうち普通交付税は、標準的な行政需要を表す基準財政需要額が、標準的な収入を表す基準財政収入額を上回る財源不足を基本に算定されます。 デジタル庁の財政項目の説明にあるこの仕組みが、税収だけを比べたときの差を調整します。

実際に川崎市の令和6年度決算では、1人当たり地方税が25万4,663円、地方交付税が248円で、合計は25万4,911円でした。 出所は川崎市の財政状況資料集です。 同年度の普通交付税は0円で、地方交付税全体とは区別が必要です。

新潟市の同年度決算では、1人当たり地方税が17万5,967円、地方交付税が11万2,227円で、合計は28万8,194円でした。 出所は新潟市の財政状況資料集です。 同年度の地方交付税の93.1%を普通交付税が占めていました。 税収だけなら川崎市が高く、地方交付税を足した部分合計では新潟市が高くなります。

ただし、この部分合計には地方譲与税や各種交付金などを含みません。 教育や福祉、道路にいくら使ったかも示していません。 税収の多さだけで行政サービスの財源を判断せず、交付税を含む歳入の組み立てまで確かめます。

家計の税負担やサービス費用には、どうつなげて読む?

自分の税金や自治体サービスの費用を確認したい住民にとって、決算の比較は確認先を絞る材料です。 同じ普通会計の様式と人口基準で比較する限り、地域の税源と交付税のどちらが歳入を支えているかを追えます。 家計負担が軽くなるという読みが成り立つのは、財源の増加が、利用するサービスの使用料引下げや給付の増加につながる場合です。 教育や福祉のサービスを使う家庭では、支払いが減るか、受け取りが増えることで家計に影響します。 使途が道路など別の費目に向かう場合や、使用料と給付が変わらない場合は、この読みは外れます。

たとえば、個人の税負担を知りたい場合は、自分に関係する税目の情報へ進みます。 行政サービスの費用が気になる場合は、そのサービスの歳出と使用料、給付の情報を確認します。 法人分を含む税収や交付税の増減だけでは、個人の納税額や受給額を決められないためです。 この統計だけで家計予算を書き換えず、自分の支払いと受け取りに結びつく項目を確かめるのが次の行動です。

この読みには範囲があります。 両市では行政需要、面積、昼間人口、年齢構成などをそろえておらず、金額の大小からサービスの優劣までは判断できません。 新潟市の交付税増加を、需要側と収入側の個別項目に分解した寄与も未確認です。 そのため、特定の給付が増える、使用料が下がるといった予測にはつなげません。

また、税収と人口の動きによる今回の説明を次年度へ延長するには、同じ方向が続くことが前提です。 人口の増減方向が反転する、新潟市の普通交付税が大きく減る、川崎市が普通交付税の交付団体になる場合は、今回の歳入構造の読みを更新する必要があります。 決算額や人口の訂正があれば、1人当たり額も計算し直します。

次は、財政状況資料集のどの項目をいつ確認する?

家計への影響を判断する時点で、まず自治体の財政状況資料集の歳入と歳出を確認します。 見る順序は、地方税総額と住民基本台帳人口、地方交付税の内訳、関心のあるサービスの歳出です。 1人当たり額を比較するときは、決算年度と人口の基準日をそろえます。 実額、1人当たり、構成比を切り替えて比較する入口には、デジタル庁の地方財政ダッシュボードも使えます。

続いて、自分に関係する税目、使用料、給付の資料を確認します。 歳入の増減と家計負担の変更が対応するかを、ここで確かめます。 次年度の財政状況資料集が掲載されたときは、同じ項目を並べ、人口減少と交付税が今回と同じように効いているかを再確認します。 次回の具体的な公表日は、今回参照した資料では未確認です。

まとめ