大企業と小企業の給料差は年齢でどう変わる?20代から60代の賃金カーブを比較
大企業と中小企業の給料差は、年齢を問わず一定額が上乗せされる形ではありません。 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第4表によると、一般労働者の所定内給与は、20~24歳では大企業25万8,400円、小企業22万6,300円ですが、55~59歳では46万5,900円と33万5,100円です(2025年6月、男女計、産業計、民営事業所)。
一方、60~64歳では大企業35万7,700円、小企業31万5,700円となり、差は急に縮みます(同第4表、2025年6月)。 自分の給与や転職先を比べるときは、企業規模別の年齢計ではなく、自分と同じ年齢階級の所定内給与を見るのが結論です。
企業規模別の月給差はどれくらいか
比較する所定内給与は、毎月決まって支払われる給与から、時間外、深夜、休日出勤などの超過労働給与を除いた金額です。 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 主な用語の定義」によると、所得税や社会保険料を引く前の名目額なので、手取りや年収とは一致しません(2025年調査)。
企業規模は勤務先の事業所だけの人数ではなく、労働者が属する企業全体の常用労働者数で分かれます。 大企業は1,000人以上、中企業は100~999人、小企業は10~99人です(厚生労働省の同調査「主な用語の定義」、2025年調査)。
年齢計の所定内給与は大企業38万5,100円、中企業32万6,200円、小企業30万5,600円で、小企業の水準は大企業を100とすると79.4でした(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第4表、2025年6月、一般労働者、男女計、産業計、民営事業所)。 しかし、この年齢計だけでは、20代の採用時に近い差と50代の差を区別できません。 年齢計の7万9,500円差を、どの年齢にも当てはまる「大企業の上乗せ額」とは扱えません。
なぜ50代後半まで差が広がり、60代で縮むのか
規模差が広がる仕組みは、年齢階級ごとの給与上昇幅を分けると見えます。 厚生労働省の同第4表では、大企業と小企業の差が20~24歳の3万2,100円から、30~34歳の5万8,100円、40~44歳の10万3,100円を経て、55~59歳の13万800円へ広がります(2025年6月、差額は掲載値から計算)。
この拡大は、小企業の給与が下がり続けるからではありません。 同第4表では、大企業の所定内給与が20~24歳の25万8,400円から55~59歳の46万5,900円へ上がる一方、小企業も22万6,300円から33万5,100円へ上がっています(2025年6月)。 ただし、大企業側の上昇幅の方が大きいため、年齢階級が上がるにつれて差額が積み上がります。
転換点は55~59歳から60~64歳です。 大企業は46万5,900円から35万7,700円へ10万8,200円下がるのに対し、小企業は33万5,100円から31万5,700円へ1万9,400円下がるため、規模差は13万800円から4万2,000円へ縮みます(厚生労働省の同第4表、2025年6月、低下額と差額は掲載値から計算)。 65~69歳では大企業29万4,600円、小企業28万1,000円、差は1万3,600円です(同第4表、2025年6月)。
企業規模による違いは固定額ではなく、50代後半までの上がり方と60歳前後の下がり方が異なる「賃金カーブの差」として読みます。
給与比較と家計設計で何を変えるか
会社員が給与水準を比べる場面では、同じ年齢階級、同じ賃金項目、同じ基準時点をそろえます。 年齢計では平均年齢が大企業43.4歳、中企業44.1歳、小企業46.0歳で、平均勤続年数も14.1年、12.4年、11.5年と異なります(厚生労働省の同第4表、2025年6月)。 規模計の平均だけを比べると、この労働者構成の違いまで給与制度の差として受け取る可能性があります。
家計で変化が出る場所は、毎月の給与収入と賞与月の臨時収入です。 e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査」第1表では、企業規模計の年間賞与その他特別給与額が20~24歳41万2,000円、40~44歳116万7,000円、55~59歳133万円、60~64歳86万1,000円でした(原則2024年1~12月、一般労働者、男女計、産業計)。 しかし、所定内給与は2025年6月、賞与は原則2024年1~12月であり、参照期間が一致しません。
したがって、月給を12倍してこの賞与を足した金額を「2025年の実績年収」とすることはできません。 毎月の支出に充てる収入は自身の給与明細にある継続部分で考え、統計の賞与は年齢別の傾向を確認する材料にとどめます。 所定内給与と賞与の時間軸を家計でどう分けるかは、基本給と賞与込み給与の読み方も参考になります。
この読みは、各年齢階級の平均を同じ人の昇給経路とみなさないことが前提です。 調査は同じ人を追跡しておらず、規模差には産業、性、学歴、役職、勤続年数、雇用形態の構成差が残ります。 男女と年齢を分けた水準は、年齢別の平均給与で確認できます。
反証条件は、次の調査で20~24歳から55~59歳までの大企業と小企業の差が拡大せず、ほぼ一定または縮小することです。 60~64歳で大企業側の低下が小さくなり、55~59歳からの差の縮小が消えた場合も、今回の形は単年の労働者構成に左右された可能性が強まります。 産業、役職、勤続年数をそろえた再集計で差の大半が消える場合には、企業規模を中心に置く説明を弱める必要があります。
次の企業規模別賃金はいつ、どこを見るか
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(全国)Q&A」では、全国結果と都道府県別結果を調査翌年の3月頃に公表する予定としています(2026年8月31日確認時の説明)。 次は2027年3月頃を目安に、2026年調査の公表時期を厚生労働省の同調査ページまたはe-Statの公表予定で確認します。
公表後に見る場所は、「結果の概況」第4表の企業規模、性、年齢階級別賃金と企業規模間賃金格差です。 20~24歳、55~59歳、60~64歳の大企業と小企業を同じ順で比べれば、差の拡大と60歳前後の縮小が続いたかを確認できます。 訂正や再集計が出た場合は、2025年値から計算した差額も更新します。
まとめ
- 2025年6月の所定内給与は、年齢計で大企業38万5,100円、中企業32万6,200円、小企業30万5,600円でした(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第4表)。
- 大企業と小企業の差は20~24歳の3万2,100円から55~59歳の13万800円へ広がり、60~64歳で4万2,000円へ縮みます(同第4表、2025年6月、差額は掲載値から計算)。
- 給与を比べるときは、企業規模別の年齢計ではなく、同じ年齢階級と同じ賃金項目をそろえます。
- 賞与は原則2024年、所定内給与は2025年6月が基準なので、単純合算を2025年の実績年収とは扱いません(厚生労働省の同調査第1表)。
- 次は2027年3月頃を目安に厚生労働省またはe-Statで2026年調査の公表を確認し、「結果の概況」第4表の20~24歳、55~59歳、60~64歳を見ます。