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毎月勤労統計の速報と確報はなぜ違う?2026年6月の上方修正を分解

・ 約5分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分結果確報」で賃金が速報より上がった主因は、物価の見直しではなく、速報後に届いた調査票を含めて集計し直したことです。 2026年6月分では、上方修正額の大部分を賞与などの一時的な給与が占めました。

したがって、「実質賃金が上方修正されたから、毎月の給料も同じ幅で伸びた」とは読めません。 家計では給与総額だけでなく、毎月の固定費を支える所定内給与と、一時金を分けて確認するのが答えです。

目次
  1. 速報と確報に差が出る仕組み
  2. 3,146円の修正はどの給与から生じたか
  3. 実質賃金2.2%増が家計に示す範囲
  4. 家計では給与明細のどこを見ればよいか
  5. 次は7月分の所定内給与を確認する
  6. まとめ

速報と確報に差が出る仕組み

毎月勤労統計の速報と確報は、対象月が違う統計ではありません。 どちらも全国の事業所規模5人以上で働く常用労働者を対象とした同じ月の推計ですが、集計に使える調査票の範囲が違います。

厚生労働省「速報値と確報値で改訂される要因や傾向について」によると、速報は公表時点までに提出された調査票で集計し、確報はその後に提出され、審査を終えた調査票も加えて集計します。 そのため、後から加わった事業所の産業、規模、給与の分布が速報時点の標本と異なれば、労働者1人平均の推計値も動きます。

実際、厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分結果速報」と同確報では、回答事業所数が21,749から24,895へ増え、回収率は65.8%から75.3%へ9.5ポイント上がりました。 集計では産業と事業所規模ごとの推計比率、労働者数を使って賃金を積み上げ直すため、調査票が増えた分を単純平均に足す処理ではありません。

ただし、公表資料では追加分の個票や産業別の寄与を確認できません。 「どの事業所群が何円押し上げたか」は未確認であり、確報は情報が増えた再推計であって、速報の誤りが判明したという意味ではありません。

3,146円の修正はどの給与から生じたか

現金給与総額は、毎月支払われる基本給や残業代などのきまって支給する給与と、賞与などの特別に支払われた給与の合計です。 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分結果確報」によると、全国、事業所規模5人以上、調査産業計の現金給与総額は、速報の531,677円から確報の534,823円へ3,146円上方修正されました。

この3,146円を公表実数で分解すると、きまって支給する給与の修正は439円、特別に支払われた給与の修正は2,707円です。 同じ厚生労働省の2026年6月分速報と確報を基に計算すると、修正額の14.0%が定期給与側、86.0%が特別給与側に当たります。

厚生労働省の同確報の用語欄によると、特別給与には夏冬の賞与だけでなく、期末手当、不定期の給与、3か月を超える期間で算定される手当、ベースアップの差額追給分も入ります。 厚生労働省の同確報では、2026年6月の特別給与は235,152円であり、この項目の再推計が総額を動かしやすい月でした。

この分解から言えるのは、上方修正の中心が毎月繰り返される給与ではなかったことです。 給料の基調を知りたいときは、現金給与総額の伸びだけでなく、所定内給与と特別給与のどちらが動いたかを見ます。

実質賃金2.2%増が家計に示す範囲

厚生労働省の2026年6月分確報では、現金給与総額の前年同月比が速報の3.4%増から4.0%増へ、実質賃金の主系列が1.6%増から2.2%増へ、それぞれ0.6ポイント上方修正されました。 同じ資料で実質化に使う「持家の帰属家賃を除く総合」の物価上昇率は速報と確報のどちらも1.9%だったため、実質賃金の修正は名目賃金側から伝わったものです。

この実質賃金は、税金と社会保険料を差し引く前の労働者1人平均を共通の物価指数で調整した値です。 手取り、可処分所得、個々の世帯が買う品目の変化を直接示す数字ではありません。 名目と実質の算式や対象範囲は、名目賃金と実質賃金の違いで詳しく確認できます。

さらに、2026年6月分確報では一般労働者の現金給与総額が速報の715,604円から719,523円へ上方修正された一方、パートタイム労働者は129,042円から128,891円へ下方修正されました。 いずれも厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分」の速報と確報にある税引き前の平均額で、全国平均の背後では就業形態によって修正方向も異なります。

実質賃金2.2%増は6月の平均的な賃金購買力を示しますが、個人の手取りや翌月以降の固定収入が2.2%増えるという答えではありません。

家計では給与明細のどこを見ればよいか

会社員が家計を見直すなら、給与明細を毎月受け取る部分と一時的に受け取る部分に分けます。 月々の家賃、光熱費、通信費などの固定費を支えられるかは所定内給与を軸にし、賞与を含む特別給与は毎月の収入として織り込まない見方が合います。

この判断は、6月の上方修正の86.0%が特別給与側だったという、厚生労働省の2026年6月分速報と確報の公表実数からの分解を前提にしています。 その前提のもとでは、一時金の再推計が現金給与総額を押し上げ、その増加が実質賃金にも伝わったため、総額だけで固定費の余裕を広げる判断はできません。

一方、この読みが外れる条件もあります。 次月以降、特別給与を除く所定内給与の実質的な伸びが総額と同程度以上に続けば、6月だけの一時金中心ではなく、毎月の給与にも伸びが広がったと読み直せます。 厚生労働省の2026年6月分確報が再訂正されて特別給与の修正幅が縮む場合や、追加調査票の内訳が公表されて定期給与側の推計変更が主因と分かった場合も同様です。

固定費の増額や長期契約を検討するときは、賞与込みの1か月ではなく、所定内給与が続けて伸びているかを確かめます。

次は7月分の所定内給与を確認する

次の一手は、厚生労働省「毎月勤労統計調査」の2026年7月分を速報と確報の両方で追うことです。 入力資料に記載された公表予定は、速報が2026年9月8日、確報が同年9月28日です。

結果ページを開いたら、概況の「現金給与総額」だけで止めず、「きまって支給する給与」「所定内給与」「特別に支払われた給与」の前年同月比を確認します。 次に、就業形態別の一般労働者とパートタイム労働者を見て、全国平均と同じ方向かを確かめます。

速報から確報へ総額が再び動いても、所定内給与が安定し、特別給与だけが大きく動くなら、一時金と追加調査票の影響をまず疑う余地があります。 反対に、所定内給与も同じ方向へ動き、その傾向が次月以降も続くなら、家計の固定収入に関わる変化として読み直せます。

まとめ