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M字カーブは解消した?女性の労働力率40年の変化と残るL字の課題

・ 約4分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

M字カーブは、女性の労働力率を年齢階級別に並べたときに、結婚・出産期にあたる30歳前後で落ち込み、アルファベットのMのような形になる現象を指します。 総務省統計局「労働力調査」でこの40年を確認すると、Mの谷は大幅に浅くなり、曲線は台形に近づいています。

1985年の谷は30~34歳の50.6%で、左肩(20~24歳の71.9%)との差は21.3ポイントありました。 2024年の谷は35~39歳の81.4%で、左肩(25~29歳の88.9%)との差は7.5ポイントです(厚生労働省「令和6年版働く女性の実情」付属統計表、資料出所は総務省「労働力調査」)。 この記事では、数値の変化と、その読み方の注意点を整理します。

目次
  1. 労働力率とは何を数えているか
  2. 40年でM字はどう変わったか
  3. 台形化を主導したのは有配偶女性
  4. 「M字解消」と言い切る前の注意
  5. まとめ

労働力率とは何を数えているか

労働力人口比率(労働力率)は、働いている人(就業者)と仕事を探している人(完全失業者)の合計を、15歳以上人口で割った比率です。 「働く意思を持って労働市場に参加している人の割合」に相当します。 働いている人だけを数える就業率とは分子が異なり、2025年平均の女性は労働力率56.4%、就業率55.1%です(総務省統計局「労働力調査(基本集計)2025年平均結果の概要」)。

40年でM字はどう変わったか

女性の年齢階級別労働力率です(厚生労働省「令和6年版働く女性の実情」付表3、資料出所は総務省「労働力調査」、単位%、太字は各年の谷)。

年齢階級1985年1995年2005年2015年2024年
20~24歳71.974.169.868.577.2
25~29歳54.166.474.980.388.9
30~34歳50.653.762.771.283.9
35~39歳60.060.563.071.881.4
40~44歳67.969.571.074.883.0
45~49歳68.171.373.977.583.9
50~54歳61.067.168.876.381.6
55~59歳51.057.060.069.077.3
60~64歳38.539.740.150.666.6

変化のポイントは3つです。

  1. 谷が浅くなりました。左肩ピークとの差は、1985年21.3pt → 1995年20.4pt → 2005年12.2pt → 2015年9.1pt → 2024年7.5ptと、40年で3分の1近くまで縮小しました。
  2. 谷の位置が後ろへ移りました。1985~2015年は一貫して30~34歳が谷でしたが、2024年は35~39歳(81.4%)が30~34歳(83.9%)を下回り、谷が後方に移動しています。
  3. 上昇を主導したのは20代後半~30代前半です。25~29歳は54.1%から88.9%へ34.8ポイント、30~34歳は50.6%から83.9%へ33.3ポイント上昇しました。一方、20~24歳は5.3ポイントの上昇にとどまります(進学率の上昇による在学者の増加を含み得ます)。

2025年平均は10歳階級での公表ですが、女性25~34歳の労働力率は88.4%(前年差+1.8pt)、35~44歳83.6%、45~54歳83.5%で、30代後半から50代前半にかけての緩やかな窪みを残しつつ、ほぼ台形の形です(総務省統計局・同概要、データ時点2025年平均)。

台形化を主導したのは有配偶女性

M字の谷が浅くなった中身は、配偶関係別のデータで確認できます(厚生労働省・同付属統計表、1985年→2024年)。

未婚女性の労働力率は40年前から9割前後で高く、M字の谷はもっぱら有配偶女性の労働力率の低さが作っていました。 その有配偶女性の同年代の値が40年で30~43ポイント上がったことが、台形化の直接の中身です。 結婚・出産で労働市場から退出するパターンが減ったことと整合します。

ただし、この変化を単一の要因に帰することはできません。 晩婚化・晩産化によって谷を作るライフイベント自体が後ろへずれた効果と、出産後も就業を継続する人が増えた効果は、この集計だけでは分解できません。

「M字解消」と言い切る前の注意

  1. 横断データはコーホートの軌跡ではありません。各年の曲線は、その年の別々の世代を並べた断面です。「今の25~29歳の88.9%が、そのまま生涯働き続ける」ことの証明にはなりません。
  2. 量と質は別です。労働力率のM字がほぼ解消した一方、内閣府「令和7年版男女共同参画白書」は、女性の正規雇用比率が25~29歳をピークに低下する「L字カーブ」を課題として挙げています。労働市場への参加は台形化しても、雇用形態の構成は年齢とともに変化します。実際の賃金差は正社員と非正規の賃金格差で確認できます。
  3. 比率の長期比較には小さな断層があります。労働力調査は標本調査で、人口の基準切替えや2011年の補完推計など、時系列上の注意点があります(総務省統計局「労働力調査に関するQ&A」)。

就業率・完全失業率ベースの男女・年齢別の変化は就業率と完全失業率の違いで扱っています。 2000年以降の女性の就業率上昇(25~34歳で25.9ポイント)とも整合する動きです。

まとめ