食料や日用品の値上がりを強く感じるのはなぜ?財とサービス別CPIの読み方
食料や日用品の値上がりをサービスより強く感じるのは、購入頻度の高い非耐久消費財が物価上昇を大きく押し上げたためです。 総務省統計局「2025年(令和7年)平均消費者物価指数の動向」によると、2025年平均は財が前年比4.7%、サービスが1.5%上昇し、非耐久消費財だけで総合を2.24ポイント押し上げました。
ただし、全国平均の上昇率を、そのまま各世帯の負担率に置き換えることはできません。 家計を見直すときは、食料や日用品など頻繁に買う財と、家賃や通信、保険など契約して払うサービスを分けてください。
2025年は財の上昇がサービスを上回った
消費者物価指数(CPI)は、全国の世帯が購入する財とサービスの価格が平均的にどう変わったかを測る指数です。 2025年平均の総合は前年比3.2%上昇しましたが、内訳では財の寄与度が2.52ポイント、サービスが0.68ポイントでした(総務省統計局「2025年(令和7年)平均消費者物価指数の動向」、2025年平均、2020年基準)。
財の中でも上昇を主に押し上げたのは、購入後に比較的早く使う非耐久消費財です。 非耐久消費財は前年比5.6%上昇し、総合への寄与度は2.24ポイントでした(同資料、2025年平均)。 2025年の物価高は「財が一様に上がった」のではなく、食料などを含む非耐久財の上昇が中心だったと読めます。
一方、サービスは一つの方向へそろって動いたわけではありません。 一般サービスは1.8%、公共サービスは0.5%、家賃は0.3%上昇しましたが、高等学校授業料(公立)は総合を0.12ポイント押し下げました(同資料、2025年平均)。 制度による押下げと市場での価格改定がサービスの合計で相殺されると、個々の契約で感じる値上がりは集計値から見えにくくなります。
総合の費目別寄与を読む方法は、CPI寄与度で物価上昇の内訳を見る記事でも確認できます。
財とサービスでは価格が届く経路が違う
財とサービスの差は、値上がりの原因を一語で決めれば説明できるものではありません。 日本銀行調査統計局の日銀レビュー「消費者物価における最近の企業のサービス価格設定行動」は、財価格では財に由来する仕入コスト、サービス価格では自社の賃金コストとサービス由来の仕入コストの比重が相対的に高いと試算しています(主な分析期間は1991年第2四半期から2024年4月、コスト構造は2015年産業連関表)。
財では、仕入価格の変化が製造や流通を経て店頭価格へ届きます。 サービスでは、人件費や外部サービスの調達費が上がっても、契約更新や料金改定まで価格が動かない場合があります。 この違いがあるため、両者の上昇率は同じ時期に同じ幅で動くとは限りません。
過去の年平均にも差が表れています。 2008年は財2.4%、サービス0.4%、2015年は双方0.8%、2020年は財0.5%、サービスはマイナス0.5%でした(総務省統計局「2008年平均消費者物価指数の動向」「2015年平均消費者物価指数の動向」「2020年平均消費者物価指数の動向」、各年平均、各年の基準による公表値)。 石油製品と農水畜産物が財の中で逆方向へ動いた年や、制度変更を含むサービスが下落した年があるため、「財は常にサービスより上がる」という関係ではありません。
財とサービスの差は優劣ではなく、仕入価格や賃金、制度変更、価格改定が別の順序で指数へ届いた結果として読みます。
家計の負担感はどの費目に表れるか
この読みが家計に当てはまる前提は、財とサービスの分類が、世帯の購入費目を分ける物差しとして有効であることです。 財の上昇が大きい局面では、食料、光熱関連品、日用品などの非耐久財を頻繁に買う世帯ほど、全国平均より値上がりを認識しやすい可能性があります。 サービスの変化は、外食、家賃、通信、保険、宿泊、教育など、利用または契約している費目を通じて家計に届きます。
したがって、家計簿では「物価高」という一項目を作るより、非耐久財の購入額とサービスの契約額を分けたほうが、見直す場所を決めやすくなります。 前者では購入頻度と一回当たりの支払額、後者では価格改定月と制度の適用有無を確認します。 同じ全国CPIを見ても、支出構成が違えば、負担が増える費目も見直しの順番も変わります。
この解釈が弱まる条件もあります。 2026年以降、財の伸びが縮小してもサービスの伸びが続くとは限らず、財とサービスの前年比差が継続的に逆転する場合は、非耐久財を中心に据えた見方を改める必要があります。 一般サービスと持家の帰属家賃を除くサービスがともに低下する場合や、非耐久財の寄与が小さくなっても総合が同程度で推移する場合も、別の押上げ要因を確認します(総務省統計局「2025年基準消費者物価指数 結果表一覧」、2025年1月から2026年6月の遡及結果および接続指数)。
CPIと家計簿の金額は一致しない
CPIは価格の変化を測るため、個々の世帯が実際に払った金額や生活費の水準とは一致しません。 2025年基準のウエイトは、原則として家計調査の2025年平均1か月間の二人以上世帯の品目別支出を使います(総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説 第4 ウエイトの作成」、データ時点2025年)。 単身世帯や特定のサービスを使わない世帯では、支出構成が全国指数のウエイトと異なります。
サービスには、実際の現金支出がなくても持家の帰属家賃が含まれます(同資料、2025年基準)。 そのため、サービス指数の変化と、家計簿に記録した現金支出を直接突き合わせることもできません。 CPIは値上がりの方向を探す資料、家計簿は自分の支払額を確かめる資料として役割を分けます。
年平均と月次も分けて読みます。 この記事の4.7%と1.5%は12か月の指数を平均した2025年の前年比であり、直近月の勢いを表す季節調整済み前月比ではありません(総務省統計局「2025年(令和7年)平均消費者物価指数の動向」、2025年平均)。 長期の価格水準は2025年基準の接続指数で追いますが、変化率は各基準年の公表値を使い、丸められた接続指数から再計算しません。
次の全国CPIで確認する場所
次の確認日は2026年8月21日8時30分です。 総務省統計局の公表予定では、この時刻に全国の2026年7月分CPIが公表されます(総務省統計局「消費者物価指数2025年基準改定に伴う公表スケジュールについて」、日程時点2026年7月から8月)。
公表後は「2025年基準消費者物価指数 結果表一覧」で、総合だけでなく財とサービスの前年同月比を並べます。 次に、財では非耐久消費財、サービスでは一般サービス、公共サービス、家賃を確認します。 この順序なら、総合が動いた理由を、頻繁に買う品目の変化と契約型費目の変化に分けられます。
家計側では同じ月の家計簿を財とサービスに分け、全国指数の上昇率を自分の負担率とみなさず、増えた費目だけを照合してください。 財とサービスの差が逆転したか、非耐久財の寄与が縮小したかも記録すれば、今回の読みが続いているかを自分で検証できます。
まとめ
- 2025年平均は財が前年比4.7%、サービスが1.5%上昇し、非耐久消費財が総合を2.24ポイント押し上げました(総務省統計局「2025年(令和7年)平均消費者物価指数の動向」、2025年平均)。
- 財は仕入価格、サービスは賃金や外部サービスの調達費、契約更新、制度変更が価格へ届くため、上昇する時期と幅が異なります。
- CPIは全国平均の価格変化であり、世帯ごとの支払額ではありません。家計簿では非耐久財と契約型サービスを分けます。
- 次は2026年8月21日8時30分に、総務省統計局「2025年基準消費者物価指数 結果表一覧」で、2026年7月分の財、サービス、非耐久消費財、一般サービスを確認します。