持ち家率が高い県なら広い家に住める?住宅面積の平均と物件比較の順序
持ち家率が高い県でも、同じ予算で広い家に住めるとは判断できません。 持ち家率は住まいを所有する割合であり、住宅の広さや価格を直接表していないためです。 住み替え先を比べるなら、まず持ち家か借家かをそろえて面積を確認し、その後に物件価格や家賃を重ねます。
持ち家が多い県と、持ち家が広い県は同じか
地域の住宅事情には、「所有している住宅の割合」と「所有する住宅の広さ」という別々の差があります。 総務省統計局の住宅基本集計によると、2023年10月1日現在の持ち家住宅率は全国60.9%、秋田県77.1%、沖縄県42.6%でした。 これらは居住世帯のある住宅に占める持ち家の割合です。
一方、持ち家の広さでは並び方が変わります。 総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた2026」の持ち家面積では、2023年の全国平均は118.3㎡、富山県167.5㎡、秋田県154.3㎡、東京都90.5㎡です。 持ち家率が最も高い秋田県より、持ち家面積は富山県の方が大きくなっています。 所有する割合が高いことから、所有する家も最も広いとは推定できません。
そもそも、この統計の持ち家にはローン支払中や親名義の住宅も含まれます(総務省統計局、住宅調査の用語の解説)。 住宅は過去の建築や除却、所有関係の変更が積み重なったものです。 持ち家率は、これから購入する世帯の買いやすさや、返済負担の軽さを示す目安にはできません。
平均面積は住宅の広さと戸数の構成でどう変わるか
地域全体の平均には、広さの違う住宅が混ざっています。 総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた2026」の所有関係別面積では、2023年の全国平均は持ち家118.3㎡に対し、借家45.4㎡です。 各区分の広さが変わらなくても、面積の大きい区分の戸数割合が上がれば、全体の平均は大きくなります。 平均が変わる理由には、住宅そのものの広さに加えて、どの住宅を多く数えるかもあるのです。
建て方の構成にも変化があります。 総務省統計局の住宅基本集計では、居住世帯のある住宅のうち、一戸建の割合は2018年の53.6%から2023年の52.7%へ下がり、共同住宅は43.6%から44.9%へ上がりました。 比較時点はいずれも各年10月1日です。 同じ集計で一戸建の戸数自体はこの期間に56万戸増えていますが、共同住宅は161万5千戸増えました。 一戸建が増えても、共同住宅の増加がそれを上回るため、一戸建の割合は下がります。
同時に、建て方ごとの平均面積も縮小しています。 総務省統計局の同じ基本集計の面積表によると、居住専用の住宅では、2018年から2023年に一戸建が126.63㎡から126.32㎡、共同住宅が51.14㎡から50.31㎡へ、全体が92.06㎡から90.86㎡へ変わりました。 各年10月1日時点の比較です。 相対的に小さい共同住宅の割合上昇と、各区分内の面積縮小が、全体平均を小さくする方向に働いた可能性があります。
ただし、戸数構成は居住世帯のある住宅、面積の推移は居住専用の住宅で、集計範囲が完全にはそろいません。 それぞれが全体の縮小にどれだけ寄与したかは未確認です。 平均面積の縮小を読む際は、住宅の種類が入れ替わった効果と、同じ種類の住宅が狭くなった効果を分けて確かめます。
借家を探す家計では、どの比較がずれるのか
借家を探す世帯が地域全体の平均面積を希望の広さの目安にすると、持ち家の多さによって比較がずれる可能性があります。 この読みは、統計の推計値が地域の既存住宅をおおむね表し、持ち家と借家の面積差が比較先にもあることを前提にします。 持ち家の比重が全体平均を押し上げていれば、借家だけを比べたときには、全体平均ほど広さの差がないことも考えられます。
その場合、家計で見直すのは家賃と希望面積の組み合わせです。 地域全体が広いという印象だけで家賃予算を置くと、実際に借りたい広さの物件がその予算で見つかるかを確かめられません。 借家を探す世帯は借家の面積を比較の出発点とし、候補物件の家賃、面積、世帯人数に照らして条件を絞ります。 購入を検討する世帯も、持ち家の面積に価格と所得を重ねる必要があります。 土地の価格を調べる段階では、地価の地域平均と住宅予算の関係も確認材料になります。
この構成比による説明には、外れる条件があります。 所有関係と建て方をそろえても地域の面積差がほぼ残れば、構成比より同じ区分内の広さの差を重く見る必要があります。 次回調査で持ち家や一戸建の割合が地域間で近づいても面積差が縮まらなければ、構成比を主な理由とする読みは弱まります。 現在売り出し中、募集中の物件が既存住宅の平均と異なる場合も、統計の広さをそのまま選択肢に当てはめられません。
住宅探しの前に確認する統計表と物件条件
候補地域を比べる際は、総務省統計局の日本統計年鑑の住宅章を開きます。 第75回の表21-5と表21-6で、持ち家住宅率、所有関係別と建て方別の住宅数、延べ面積の欄を確認します。 全体平均を使う前に、購入か賃貸か、一戸建か共同住宅かという探す条件に合わせて、読む区分を決めます。
次に、総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた2026」の都道府県別面積で、候補地域の持ち家または借家の「1住宅当たり延べ面積」を確認します。 掲載指標のデータは2023年です。 資料の刊行年を、そのまま住宅の調査年と読まないようにします。
面積の範囲も合わせます。 総務省統計局の用語の解説では、延べ面積には居室のほか、玄関、台所、浴室、廊下などを含み、共同住宅の共用廊下や共用階段は除きます。 この範囲を確認してから、候補物件の面積、価格や家賃、居住する人数を並べます。 統計が示す既存住宅の姿と、現在選べる物件の条件を照合する手順です。
今後の更新時には、同じ区分の戸数割合と面積を一緒に見直します。 次回調査の公表日は参照資料では未確認です。 まず住み替え候補を絞る前に現在の表を確認し、新しい結果の公表後には、同じ所有関係と建て方で比較を更新します。
まとめ
- 持ち家率が高いことから、予算内で広い家を選べるとは判断できません。
- 平均面積は、住宅の種類ごとの広さと戸数割合で変わります。
家計の比較では、購入か賃貸か、建て方は何かをそろえます。
- 住宅探しの前に日本統計年鑑の住宅章と都道府県別面積を確認し、候補物件の価格や家賃に照らします。
新しい調査結果が公表されたら、同じ表の戸数割合と面積を合わせて見直します。