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物価上昇の内訳はどう見る?CPI寄与度で読む「何が物価を押し上げたか」

・ 約4分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

「物価が上がった」というニュースの中身を知るには、消費者物価指数(CPI)の寄与度を見るのが近道です。 寄与度は、総合指数の前年同月比を、食料や住居など10大費目が何ポイント押し上げ(押し下げ)たかに分解した数値です。

総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数」によると、全国の総合の前年同月比は2025年7月の3.1%から2026年6月の1.7%へ縮小しました。 この間、押上げの最大項目はずっと食料でしたが、その寄与度は2.13ポイントから0.94ポイントへ半分以下になっています(総務省統計局、データ時点2025年7月~2026年6月)。

目次
  1. 寄与度と上昇率は別の数値
  2. 直近12か月の費目別寄与度
  3. 「物価上昇率の縮小」の中身
  4. 使うときの注意3点
  5. まとめ

寄与度と上昇率は別の数値

まず読み方の注意です。 寄与度は「その費目自身が何%上がったか」ではありません。 費目の上昇率に、消費支出全体に占めるその費目の重み(ウエイト)を掛け合わせた概念で、総合への影響の大きさを表します。

2020年基準のウエイトは総合10,000に対し、食料2,626、住居2,149、交通・通信1,493などです(総務省統計局「2020年基準消費者物価指数の概要」)。 食料の寄与度が毎月最大なのは、値上がりが続いたことに加えて、支出に占める重みが大きいためでもあります。 「食料が最も値上がりした費目」とまでは、寄与度だけからは言えません。

なおCPIは家計が購入する財・サービスの価格を測る指数で、直接税や社会保険料、土地・住宅の購入は対象外です。 基準時の消費構造を固定して集計するため、個々の世帯の支出構成や体感とも一致しません。

直近12か月の費目別寄与度

2025年7月から2026年6月の、総合前年同月比への寄与度です(総務省統計局の各月CPI公表資料、単位はポイント、データ時点は各行の年月)。

食料住居光熱・水道交通・通信教育教養娯楽
2025年7月2.130.21-0.020.35-0.160.25
2025年9月1.920.200.130.41-0.160.19
2025年11月1.760.190.210.44-0.160.22
2026年1月1.130.20-0.110.08-0.160.19
2026年3月1.050.19-0.340.27-0.150.21
2026年6月0.940.200.000.32-0.160.14

(このほか家具・家事用品、被服及び履物、保健医療、諸雑費はいずれも0.1ポイント前後以下で推移。寄与度は公表値の丸めのため、合計が総合の前年同月比と完全には一致しない場合があります。)

読み取れる構図は次のとおりです。

「物価上昇率の縮小」の中身

総合の前年同月比は2025年7月の3.1%から2026年2月の1.3%まで縮小し、その後2026年6月は1.7%です。 一直線の縮小ではなく、途中で下げ止まりがあります。

2026年6月時点のプラス寄与は、食料0.94、交通・通信0.32、住居0.20、教養娯楽0.14ポイントの順でした。 「物価上昇の減速」は食料の寄与縮小が大きく効いた一方、食料は依然として最大の押上げ項目のままです。 体感として食料品の高さが続くことと、統計上の上昇率縮小は矛盾しません。

教育のマイナス寄与についても注意が要ります。 これは総合を押し下げていますが、平均的な家計の負担が軽くなった金額を表すものではありません。 制度の適用範囲や利用状況によって影響を受ける世帯が異なるためです。

使うときの注意3点

  1. 前年同月比への寄与度です。

原数値の前年比較であり、季節調整済みの前月比ではありません。直近の勢いを月ごとに見る用途には使えません。

  1. ウエイトは2020年基準で固定です。

2025年基準への改定で品目とウエイトが更新されます。遡及結果の公表後は、今回の大小関係が新基準でも同じか再確認が必要です(総務省統計局「2025年基準改定に伴う公表スケジュール」)。

  1. 家計側の数字と分けて読みます。

CPIは価格の指数であり、家計の支出額の変化は家計調査で見ます。物価上昇下の実際の支出は2026年6月の消費支出の読み方、賃金の購買力への影響は名目賃金と実質賃金の違いで扱っています。企業間の価格である企業物価との関係は輸入物価と国内企業物価の違いが参考になります。

まとめ