電気代、ガス代、灯油代は地域でどう違う?家計調査で光熱費を比べる方法
自宅の光熱費が高いかを確かめるとき、電気代だけを全国平均と比べても十分ではありません。 地域によって、電気、都市ガス、プロパンガス、灯油のどこに支払いが寄るかが違うためです。
総務省統計局の家計調査では、2023~2025年平均の全国年額は、二人以上の世帯で電気代149,965円、都市ガス39,035円、プロパンガス20,309円、灯油15,094円でした(総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」、2023~2025年平均)。 ただし、この全国平均は自世帯の適正額を示す基準ではありません。 家計の見直しでは、光熱費の合計だけでなく、燃料別の支払額と支払月を分けて比べることが出発点です。
地域別の電気代、ガス代、灯油代はいくら違うか
品目別の最高額を見ると、電気代は福井市の年215,694円、都市ガスは大阪市の77,510円、プロパンガスは高知市の42,101円、灯油は青森市の92,401円でした(総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」、2023~2025年平均)。 同じ都市がすべての燃料で最高額になっているわけではありません。 「光熱費が高い地域」を一つの順位で決めるより、どの燃料への支払いが大きいかを読む必要があります。
2024年の月額で電気、ガス、他の光熱を合計すると、北海道地方は20,654円、東北地方は18,715円、東京都区部は13,139円でした(総務省統計研究研修所「統計研究彙報 第83号」掲載論文の表8、2024年家計調査)。 このうち「他の光熱」は北海道地方5,674円、東北地方3,388円、東京都区部124円である一方、ガス代は順に4,499円、3,691円、4,295円でした(同論文の表8、2024年家計調査)。 寒い地域ほど、すべての品目が同じ割合で高くなるという並びではありません。
「他の光熱」は灯油だけではなく、まきや石炭なども含むため、灯油の支出と同じ数字として扱うことはできません。
光熱費の差は価格と使用量、燃料構成から生まれる
支出額は、概念上は価格と購入量の積です。 したがって、支払額の増加を値上がりだけで説明すると、使用量や品質などの変化を落としてしまいます。
2025年の全国月平均は、二人以上の世帯で電気代13,219円、ガス代4,882円、他の光熱1,379円でした(総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要」、2025年平均)。 前年からの名目増加率は順に10.1%、2.9%、8.9%でしたが、物価変動を除いた実質増加率は4.6%、1.0%、2.1%です(同資料、2025年平均)。 一方、2025年平均の消費者物価指数は電気代が5.3%、都市ガス代が1.9%、プロパンガスが1.9%、灯油が6.7%上昇しました(総務省統計局「消費者物価指数年報 令和7年」、2025年平均)。
この組み合わせから、電気代の名目10.1%増は、5.3%の価格上昇だけでは説明できません。 家計調査の実質4.6%増が示す数量や品質などの変化も、支出額を押し上げました。 名目と実質の区別は、家計調査の名目と実質を解説した記事でも確認できます。
地域差は、価格と使用量に燃料構成の違いが重なって生まれます。 2024年の北海道地方と東京都区部では、ガス代の差が月204円なのに対し、他の光熱の差は5,550円でした(総務省統計研究研修所「統計研究彙報 第83号」掲載論文の表8、2024年家計調査)。 少なくともこの比較では、合計差の多くがガスではなく「他の光熱」に現れています。 電気、ガス、その他燃料を合計したうえで内訳へ戻ると、地域差がどの支払先から生まれたかを見誤りにくくなります。
総務省統計局は、2025年1月の電気代増加を前月の低温、7月の増加を前月の高温と関連付けています(総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要」、2025年月次の説明)。 気温が使用量を変え、検針と請求を経て家計簿の支出になるため、同じ月の気温と請求額だけを比べると変化の時期をずらす可能性があります。
家計簿では燃料別、季節別に見直す
この読み方が当てはまるのは、地域別の3年平均が一時的な標本変動を弱め、電気、ガス、灯油などが暖房、給湯、調理で一定程度置き換わり得る場合です。 住宅性能、契約単価、世帯人員、在宅時間、設備保有の寄与は、今回の資料では統制されていません。
その前提を置いたうえで、二人以上世帯の家計簿は次の順で確認できます。
- 電気、都市ガスまたはプロパンガス、灯油、その他燃料を別々に集計する。
- 使用月ではなく請求された月を確認し、夏冬の高い月を前年の同じ時期と比べる。
- 全国平均との単品比較だけで結論を出さず、複数燃料の合計と構成比を見る。
この分け方なら、家計で変わる場所を「光熱費」全体で済ませず、夏冬の電気、給湯や調理を含むガス、冬季の灯油やその他燃料という具体的な費目まで絞れます。 価格変化は消費者物価指数、実際の支払額は家計簿と家計調査で確認します。
全国平均より高い費目が見つかっても、地域、世帯人数、住宅設備が違えば、直ちに使い過ぎとは判断できません。 家計調査の地域ランキングは都道府県全体ではなく、都道府県庁所在市と5政令指定都市の計52市を対象とした標本調査であり、二人以上の調査世帯は全国8,076世帯です(総務省統計局「家計調査の概要」および同ランキング、現行調査設計と2023~2025年平均)。 単身世帯へそのまま当てはめることもできません。
この解釈が外れる条件は、2026年を加えた次の3年平均で上位市や全国平均との差が大きく入れ替わる場合です。 住宅属性、世帯人員、設備保有をそろえた集計で地域差が縮む場合は、地域より世帯構成の影響が大きかった可能性があります。 電気、ガス、灯油を合算しても単品より地域差が小さくならない場合は、燃料間の置き換えを中心にした読みも弱まります。
次は2026年9月4日の家計調査を確認する
次の確認日は2026年9月4日です。 総務省統計局は2026年7月分の家計調査を公表し、消費者物価指数の2025年基準改定に伴って、2026年1~6月の実質増減率と寄与度、2000年以降の季節調整値を遡及改定する予定です(総務省統計局「家計調査結果 遡及改定についてのお知らせ」、2026年7月7日公表)。
公表後は「家計調査報告」の費目別支出で「光熱・水道」を開き、電気代、ガス代、他の光熱の名目額、実質増減率、寄与度を確認します。 2025年平均では、光熱・水道全体の実質増加への寄与度0.19ポイントのうち、電気代が0.18ポイントでした(総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要」、2025年平均)。 同じ見方を次の月次結果にも当て、合計を動かした費目を特定します。
地域差は、総務省統計局「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」の次回更新で追います。 次回の公表日は入力資料では未確認ですが、2026年を含む3年平均が出たら、順位だけでなく電気、都市ガス、プロパンガス、灯油の構成を現在の2023~2025年平均と比べます。 次の確認では、9月4日に全国の月次変化を見て、その後の3年平均更新で地域別の燃料構成が続いているかを確かめます。
まとめ
- 電気代、ガス代、灯油代の地域差は、単一の「光熱費順位」ではなく、燃料別の支払構成として読みます。
- 支出額は価格と購入量の積であり、2025年の電気代増加は価格上昇だけでは説明できません。
- 家計簿では燃料別、季節別に分け、請求の時間差を踏まえて前年の同じ時期と比べます。
- 地域ランキングは52市の二人以上世帯を対象とした標本調査であり、単身世帯や県全体の基準にはできません。
- 次は2026年9月4日に、総務省統計局「家計調査報告」の「光熱・水道」で名目額、実質増減率、寄与度を確認します。