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離職率が下がったら転職しやすい?入職率と業界別の人の出入りを読む

・ 約5分で読めます ・ 文責: 数字で読む編集部

離職率の低下だけで、転職しやすくなったとは判断できません。 厚生労働省「雇用動向調査」の2025年結果では、入職率も低下しており、入職と離職の差が広がった主因は離職側の縮小でした。 転職を考える会社員は、全体の差から採用の勢いを想像するより、自分の年齢や働き方に合う転職入職率を確かめる必要があります。

目次
  1. 入職と離職の差は、なぜ広がったのか
  2. 人の入れ替わりは、率と人数でどう違うか
  3. 純増が小さい職場でも、受け入れや引き継ぎは生じる
  4. 自分に合う転職入職率を、どの表で確認するか
  5. まとめ

入職と離職の差は、なぜ広がったのか

まず、人の出入りを同じ分母で比べます。 雇用動向調査の入職率と離職率は、それぞれ年間の入職者数と離職者数を年初の常用労働者数で割った割合です。 対象は主要16産業の常用労働者5人以上の事業所です(厚生労働省雇用動向調査の概況、2025年の調査範囲)。

厚生労働省の概況の図1-1によると、2024年から2025年に、入職率は14.8%から14.7%、離職率は14.2%から13.7%へ下がりました。 差である入職超過率は0.6ポイントから1.0ポイントへ拡大しています。 離職率の0.5ポイント低下が、入職率の0.1ポイント低下を上回ったためです(同資料、各年1〜12月)。

人数で見ても、差を広げた寄与は離職側が大きくなっています。 2025年の入職者は752万6,800人、離職者は705万2,600人で、前年より入職者は5万3,100人増え、離職者は14万2,700人減りました(厚生労働省概況の表1、2024年と2025年)。 入職者数が増えても入職率が下がるのは、比較する年によって分母の労働者数も変わるからです。 入職超過の拡大を見たら、採用が増えた分と離職が減った分を分けて確認します。

この分解は、調査対象や推計方法が比較可能で、回答事業所の構成や標本誤差だけで差が生じていないことを前提にしています。 離職が減った理由や、小幅な率の変化の統計的な有意性は未確認です。 次回、離職率が上がり、それを上回って入職率が上がる組み合わせなら、今回の「離職側の縮小が主因」という読みは次期には当てはまりません。

人の入れ替わりは、率と人数でどう違うか

次に、希望する業界の規模に対する出入りと、実際の人数を分けます。 厚生労働省の概況の産業別集計では、2025年の宿泊業、飲食サービス業は入職率27.8%、離職率23.7%でした。 医療、福祉はそれぞれ14.5%、14.3%です。 年初の労働者規模に対する出入りは、宿泊業、飲食サービス業の方が大きい結果です(同資料、2025年1〜12月)。

一方、同年の離職者数は、宿泊業、飲食サービス業が104万2,700人、医療、福祉が120万200人でした(厚生労働省概況の産業別集計)。 分母となる産業の労働者規模が違うため、離職率が低い方でも、離職者数は多くなります。 人数の多さをそのまま「辞めやすさ」の順位に置き換えると、規模の影響を混ぜてしまいます。

同じ区別は、働き方にも必要です。 2025年は一般労働者の入職率が12.0%、離職率が11.4%、パートタイム労働者は21.7%、19.9%でした。 それでも入職者数から離職者数を引いた差は、一般22万5,700人、パート24万8,400人と近い規模です(厚生労働省概況の就業形態別集計、2025年)。 大きな入職と離職が差し引かれるため、純増が近くても入れ替わりの強さは違います。 業界や働き方を比べるときは、出入りの率と人数を並べ、純増だけで人の動きを判断しないことが必要です。

純増が小さい職場でも、受け入れや引き継ぎは生じる

純増人数から、職場の落ち着きや忙しさは推し量れません。 入職者が加われば受け入れが、離職者が出れば退職に伴う手続きや引き継ぎが生じます。 入職と離職が相殺されて人員の差が小さくても、その過程の仕事まで消えるわけではありません。

これは、入退職に伴う手続き量が一件ごとに極端には違わないという前提つきの解釈です。 その前提なら、人事担当者の採用手続きや受け入れの仕事量は、純増よりも入職と離職の両方に沿って増えると考えられます。 実際の労務負担はこの調査では測っておらず、手続きの簡素化などで一件当たりの仕事が減れば、出入りの増加が負担増につながるという読みは弱まります。

会社員が転職先の環境を考える際も、産業平均は個別の職場を確かめる入口になります。 同じ人が年内に複数回移動する場合があり、出向も集計に含むため、率は個人が転職できる確率でも、応募先企業の離職率でもありません。 希望業界の数字を入口に、受け入れや引き継ぎの実態を個別に確認します。

自分に合う転職入職率を、どの表で確認するか

転職を検討する時点で、まずe-Statの雇用動向調査の年計結果表から、産業と就業形態が自分の希望に合う区分を選びます。 一般とパートの区分は所定労働時間や日数によるもので、契約期間の定めの有無とは別です。 働き方と契約期間の両方をそろえて比較します。

年齢別には、e-Statの性、年齢階級別の表4で、自分に該当する行の転職入職率を見ます。 この率は入職前1年間に就業経験がある人の入職を扱い、分母は6月末の常用労働者数です(厚生労働省「雇用動向調査」の定義)。 新規学卒などを含む全入職率と分けることで、働いていた人の移動を確認できます。 募集の動きも確かめたい場合は、産業別の新規求人数を読む記事で、募集人数を確認する手順を整理しています。

次回の2026年上半期結果の具体的な公表日は未確認です。 厚生労働省の上半期調査の案内で確認されているのは、事業所調査が6〜7月、入職者と離職者の調査が7〜8月という実施時期です。 公表日はe-Statの公表予定一覧で確認し、公表後に概況の入職率と離職率を両方見ます。 年計は上半期と下半期を合算するため、半年分と今回の年計をそのまま増減比較せず、対象期間をそろえます。

まとめ